大毅、新王者で“冠成”世界一の3兄弟
「IBF世界Sフライ級王座決定戦」(3日、サンメッセ香川)
亀田3兄弟の次男・大毅(24)がロドリゴ・ゲレロ(25)との王座決定戦を3‐0の判定で下し、新王者となった。大毅はWBA世界フライ級と合わせて、長男・興毅(26)に続く世界2階級制覇を達成。また、WBA世界バンタム級王者・興毅、WBO世界同級王者の三男・和毅(22)とそろって、世界初の3兄弟同時世界王者も実現。同時に、3兄弟で世界主要4団体の世界王座獲得も成し遂げた。
“浪速乃弁慶”が男になった。2年8カ月ぶりに世界のベルトを勝ち取った大毅はリング上で兄弟と抱き合って喜びを分かち合い、「オレが仲間入りできてうれしい」と瞳を潤ませた。
大毅が「作戦通りやった」と話す会心の試合。積極的に足を使ってファイターのゲレロの前進をいなし、スイッチするのを見越して、ノーモーションの右を次々と突き刺した。2011年12月のテーパリット戦では足を止めて激しく打ち合って敗れた経験から、「前回の失敗だけは、亀田家のためにできない」と自己制御。セコンドについた兄弟の“暴走”を戒める指示を守り抜いた。
10回には棒立ちになったゲレロにフックの連打を浴びせ、2度のローブローもものともせず、最大8ポイント差の完勝。父の史郎氏も興毅も「今までで一番の試合」と賛辞を贈った。
「男を見せます」と何度も強調するなど、この一戦にかける思いは強かった。「みんなオレが勝つために動いてくれた。世界戦はボンボンできるもんじゃないから、ものにしないといけない。今回はみんなで勝ちましたね」と感無量。「和毅やお兄ちゃんは取れるけど、オレが2本もベルトを巻けるなんて奇跡。オレが王者になったのはオヤジの力。名トレーナーやで」と父の指導にも感謝した。
王座獲得の陰には苦難があった。「今までで一番」と追い込んだ練習に取り組み、猛暑に見舞われた7月下旬にはオーバーワークから吐血。腰、膝などに故障が続発。満足にスパーリングができず、この試合でも腰にテーピングを施し、痛みをこらえていた。
また、テーパリット戦の後には引退を考えていたことも告白。「2人も頑張ってるし、なんとか、あと1回と思ってた」とポツリ。今回での引退は否定したものの、今後については「もう、しんどいよ。和毅が頑張ってくれる。しばらく休む。何も考えられへん」とため息をついた。世界の頂点で並んだ3兄弟。前人未到の新たな歴史が始まる。