興毅が引退表明「この試合がラスト」

 「ボクシング・WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(16日、シカゴ)

 米国では初となった日本選手同士のボクシング世界戦が米イリノイ州シカゴのUICパビリオンで行われ、王者・河野公平(34)が、元世界3階級王者で同級2位の亀田興毅(28)を3-0の判定で下し、2度目の防衛に成功した。敗れた亀田興毅は試合後、現役引退を表明した。

 顔は真っ赤に腫れ上がり、サングラスからのぞく目は充血していた。日本初の4階級制覇の夢が打ち砕かれた。敗戦から約1時間後、控室から出てきた亀田が口にしたのは、現役引退の言葉だった。

 「俺、この試合終わったらやめようと思ってたから、ボクシングを。この試合がラストマッチ。これ以上、先はないですよ」

 前日の計量後に予告していた、この日の“重大発表”。亀田は昨年の時点で引き際を決めていたことを明かしながら「そら、勝って終わったら一番きれいけど、3階級制覇もしたしすごい満足してる。いいボクシング人生送ったんちゃう」。一語ずつかみしめながら、淡々と言った。

 昨年11月以来の実戦。得意のアウトボクシングを捨て距離を詰めて打ち合った。分岐点に挙げたのは、相手に片膝をつかせた2回のボディーへの連打と3回の2ポイントの減点だ。いずれもローブローと判断され、ダウンを認められず、さらに2度反則を取られた。

 「いい試合できたと思うし、満足してる。ただ、こんだけの好ファイトやのにレフェリーが水を差したような形になるのは心残り。あのボディーは練習したパンチ。正直、もったいない」

 来月で29歳。2児の父でもある亀田は「ボクシングは俺の人生の一つ。全てじゃない。家族ある身やし、ボロボロになってまでやるものでもない」と持論を展開。一方で「ずっと応援してくれた人たちにはすごい申し訳ない気持ちでいっぱいですね」と謝罪した。

 昨年の誕生日に関係者からプレゼントされ、計量時でも肌身離さず着けていた「4」をかたどったネックレスは既に外していた。「また新たな世界で頑張って活躍しようと思ってるんで、また応援してもらいたいなと思います」。良くも悪くも注目され、時に批判も浴びたボクシング人生。そこに潔くピリオドを打った亀田の表情は、晴れやかだった。

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