興毅、土下座防衛 悔し涙のV6

 「WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(7日、ボディメーカーコロシアム)

 王者・亀田興毅(26)=亀田=が、8位のパノムルンレック・カイヤンハーダオジム(29)=タイ=を2‐1の判定で下し、6度目の防衛を成し遂げた。唯一の黒星を喫した2010年3月のポンサクレック戦以来となるサウスポーとの対戦は、4回に鼻から出血するなど苦しめられ、判定は分かれる薄氷の勝利。試合後はリングから客席に向かって土下座をし、会場を後にする際には悔し涙を流すなど、納得のいかないV6シーンとなった。

 結果だけを見れば勝利だが、興毅の胸に去来した感情は負けたときのものに等しかった。試合後にマイクを向けられると、開口一番「ホンマ申し訳ない」と7500人の観客に向かって謝罪。リングを下りる直前には、拍手もまばらな四方の客席に向かって土下座でひれ伏した。そして、会場を引き揚げる際には、目からこみ上げるものを抑えきれなかった。

 「何なんやろね…。目にほこりが入っただけちゃうかな」。涙の理由を問われると、強がってみせたが、声には力はなかった。「とりあえず首の皮一枚つながっただけやから」。ビッグマウスは全く鳴りを潜め、自虐的な言葉ばかりが目立った。

 激しい打ち合いになった。興毅は右ボディー、左ストレートなど多彩な攻撃を見せたが、挑戦者もひるまない。4回には、左フックをくらって鼻から出血。11回は、ロープに追いつめられ、たまらずクリンチで逃れるほどだった。判定は2‐1だが、ジャッジ3人のスコアを合計すると“ドロー”。どちらに転んでもおかしくなかった。

 10年3月にポンサクレックに敗れて以来となるサウスポーとの対戦。「やりにくい言うてもどうにもならん。オレも何も言い訳するつもりはない」。サウスポーへの苦手意識を払しょくできなかったことも今後の課題だ。

 4階級制覇、3兄弟そろっての世界戦。大きな野望のためには、まだまだレベルアップが必要だと思い知らされた。「早いとこ自分が納得する試合をせんと、その先が広がって行かへん」。土下座と涙のV6。飛躍の糧にしなければ意味がない。

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