多田悦子V10ならず…微妙判定で初黒星

 「デイリー後援・WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチ」(23日、東京ビッグサイト)

 まさかの王座陥落‐。WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチは10度目の防衛戦に臨んだ王者・多田悦子(32)=フュチュール=が、1‐2の判定で挑戦者の同級1位アナベル・オルティス(27)=メキシコ=に敗れてタイトルを失った。多田は左ボディーストレートで試合を優位に進めたかに見えたが、前進でパワフルなパンチを繰り出すオルティスにもポイントが流れ、微妙な判定でデビューしてから初めての黒星を喫した。

 判定が下された瞬間、多田はリング上であっけに取られていた。序盤こそオルティスのしつこい手数にやや苦戦したものの、中盤からは右ジャブで距離を測り的確な左ボディーストレートを何度もヒットさせて主導権をつかんだ。

 「相手がゴッツい顔をしてたので、(ボディー)効いているのは分かった」と冷静に戦況を分析。最終10回はポイントで不利とみたオルティスが一発逆転KOを狙って大振りするのを、確実に見切ってパンチを外して試合をコントロール。試合終了のゴングが鳴った時には両手を上げて勝利をアピールした。

 ところが、日本のジャッジは4ポイント差で多田を支持していたが、パナマとメキシコのジャッジはいずれも2ポイント差でオルティスを支持。思いもよらぬ結末で9回防衛してきたベルトを失ってしまった。

 控室に引き揚げてきた多田は、「正直負けたとは思っていない。でも結果がすべて。言い訳はしない」と潔かった。だが、所属ジムの平山会長は試合のビデオをWBA本部に送付することを言明。「オルティス側も再戦を希望する可能性がある」とリマッチへ向けて動き出すことになりそうだ。

 今回勝てば、1階級下げての2階級制覇のプランを温めていたが、いったん白紙に戻してオルティスへのリベンジを優先する方向。3度のバッティングで左目尻にやや出血がにじんでいたとはいえ、「パンチも効かなかったし、ダメージは全然ない。とにかくやり切った感がない」とタイトル喪失の実感がない様子。不本意な敗戦を糧にして、多田は再び立ち上がる。

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