三浦、海外防衛 日本人3人目の快挙
「WBC世界Sフェザー級タイトルマッチ」(17日、メキシコ・カンクン)
王者・三浦隆司(29)=帝拳=が挑戦者の同級1位セルヒオ・トンプソン(29)=メキシコ=を3‐0の判定で下し、初防衛に成功した。日本人選手の海外防衛は、渡辺二郎(1985年12月・韓国)、西岡利晃(09年5月・メキシコ、11年10月・米国)に次いで3人目。三浦は2回と6回にダウンを奪い、8回にダウンを奪われたものの、最後まで攻撃の手を緩めず、粘りを見せたトンプソンを押し切った。
“ボンバーレフト”が敵地での激闘を制した。9割近いKO率を誇り、11連続KO中と波に乗る最強挑戦者を相手に試練の初防衛戦。三浦は自慢の左で、完全アウェーの不安を吹き飛ばした。
強打者同士が本領を発揮した。三浦は2回に左アッパーから右フックで、6回には左ストレートからの連打で2度もダウンを奪った。だが、8回には、逆に三浦が右フックを受けてダウンを奪われた。その後、三浦は10回にもダウン寸前に追い込むなど攻勢を続けたが、粘るトンプソンをとらえきれず、勝負は判定にもつれ込んだ。
快挙に値する勝利にも、三浦は「久々に疲れた試合。内容には満足していない」と不満顔。「相手が打ち終わりを狙うのは想定していたが、全く対応できなかった」と課題を掲げた。右目上を深く切り、試合後は病院へ向かった。
本人は納得できなくても、陣営の喜びは大きい。所属ジムの本田明彦会長は「よく頑張った。異様な雰囲気だったが、たいしたものだ。メンタルの強い選手だ。海外だとこのくらいの試合でも判定で負けることはいくらでもある。まだまだ技術的にも伸びる。次は11月に日本でやる」と称賛した。
日本でテレビ生中継を解説した同ジムの浜田剛史代表は「苦しい試合になると予想していた。勝ってよかった。海外で1位の選手と真っ向勝負で勝ったことは大きな経験になる」と評価した。
海外で“ボンバー”の威力を知らしめたが、「すごくうれしいが、自分はまだまだこれから」と、精進を誓った三浦。今度は日本のファンの前で爆音をとどろかせる。