粟生3階級制覇ならず 初のKO負け
「WBO世界ライト級タイトルマッチ」(1日、ラスベガス)
同級1位の粟生隆寛(31)=帝拳=は同4位のレイムンド・ベルトラン(33)=メキシコ=に2回1分29秒でTKO負けを喫し、3階級制覇は成らなかった。ベルトランは前日計量で体重超過となったため、王座は空位のままとなる。2009年にWBC世界フェザー級、10年に同スーパーフェザー級王座を奪取した粟生は勝てば日本選手で亀田興毅、井岡一翔(井岡)に続く3階級での王座獲得だった。
本場米国で挑んだ日本選手3人目の3階級制覇の夢は、わずか4分半ほどで散った。2回、打たれ強い男が人生初というダウンを喫し、さらに連打を浴びる。初体験のKO負けに、青白い顔でショックを隠せなかった。「何をもらったか、覚えていない。何かもらったのは分かった」と小さな声で話した。
これまで減量に苦心してきたが、王座に就いたフェザー級、スーパーフェザー級より重い階級に上げたことで、順調に体を仕上げた。試合の序盤は間合いを取り、ペースをつかみつつあった。
しかし、約2年半ぶりの世界戦、しかも会場が日本ではなかった。「(体調が)良かったから裏目に出た。パンチ自体は切れているかなと思ったが、相手に合わせてしまった」と言うように、好戦的なベルトランに自分を見失った。
千葉・習志野高時代に史上初の高校6冠を達成し、天才サウスポーと称された。持ち味を出す前に終わった完敗で、今後については「今は何も考えられない状態です」と絞り出すように答えた。