大儀見&大野、2トップ大一番で覚醒
「ロンドン五輪・サッカー女子・準々決勝、日本2‐0ブラジル」(3日、ミレニアムスタジアム)
眠れるサッカー女子日本代表の2トップが、大一番で覚醒した。守勢に回るブラジル戦で今大会、ここまで無得点のFW大儀見、大野が大仕事をやってのけ、チームを4強に導いた。
まずは大儀見だ。劣勢の前半27分、MF沢の素早いリスタートに反応。「試合展開的に、自分たちのボール保持の時間が少なかった。だからこそ、最後のフィニッシュの感覚が研ぎ澄まされていましたね」。相手GKの動きを最後まで確認。右足でやさしく、確実にゴールへと流し込んだ。
勝利を決定づけるゴールは大野から生まれた。後半28分、カウンターで大儀見と抜け出すと、2トップの“相方”からパス。立ち並ぶ大型DFを「とっさの判断だった」というフェイントでいなすと、左足一閃(いっせん)。「チームメートが喜んでくれたのがうれしかった。みんなの気持ちが入った、みんなの点ですね」と振り返った。
あの時の思いが、時空を超えてフラッシュバックする。共に日テレに所属していた際、プロ契約を結んだ大野が、全体練習を前に自主練習を行っていると、大儀見がパートナーとして参加したという。「自主練習をしているという話をしたら、『じゃあ自分が、行くよ』とか言ってくれて。ナガ(大儀見)と2人でやってた時とかありました。短い時間だったけど良かったですね」。こんな大舞台での大仕事を2人共に思い描き、ボールを蹴っていた。
陽気な大野と寡黙な大儀見。正反対にも映る2人だが今では「(2点目は大野が)あそこにいると思った。見えたというか、感覚的に分かっていましたね」(大儀見)という関係だ。1次リーグの無得点で「責任を感じていたから、2人で点を取れて良かった」(大野)。なでしこが誇る2トップが本領を発揮するのはこれからだ。