道上、亡き兄に捧げる同点ヘッド!
「U20女子W杯・1次L、日本2-2ニュージーランド」(22日、宮城ス)
20歳以下の世界一を決めるサッカーU‐20女子W杯1次リーグA組の日本は、2戦目で格下のニュージーランドに2‐2で引き分け。準々決勝進出は第3戦のスイス戦まで持ち越しとなった。0‐2の前半37分にエースMF田中陽子(19)=INAC神戸=のゴールで反撃すると、後半26分に田中陽のCKをFW道上彩花(18)=常盤木学園=が頭で押し込み同点。道上が亡き兄・翔太さんにささげるゴールで日本を救った。
18歳の渾身(こんしん)のヘッドが日本の窮地を救った。1点ビハインドの後半26分、MF田中陽の左CKにFW道上が頭から飛び込んだ。たたきつけた弾道がニュージーランドゴールに突き刺さると、背番号13は背中の「MICHIGAMI」を指さし、天に拳(こぶし)を突き上げた。「絶対チャンスがくると思っていたので、決め切れて良かった」。
亡き兄に捧げるゴールだった。道上が小学5年のとき、3学年上の兄・翔太さんが急性の脳内出血で他界。「2人で日本代表に行こう」‐。翔太さんの影響で徳島の今津少年FCでサッカーを始め、日の丸を合言葉に兄妹で技術を高め合うようになった。
前半15分までに2失点。格下相手にまさかの展開だった。先制点の献上はMF仲田の不運なオウンゴール。前半29分に交代を告げられた背番号6はベンチで目を真っ赤に腫らし、戦況を見守った。常盤木学園高の1学年上の先輩を救いたい‐。和製ワンバックの異名をとる道上が土壇場で雄叫びをあげた。
反撃ののろしをあげたエースMF田中陽も秘める思いがあった。2点ビハインドの前半37分、相手DFのクリアボールに身を投げ出し、そのまま右足を振り抜いたゴールで1点差にすると、首にかけたヘアバンドに口づけ。「舞のヘアバンド。舞に捧げたかった」。左ひざ手術で今大会のメンバーを外れたINAC神戸の同級生、FW京川舞とともにピッチに立っている。「追い付いたことより、勝てなかったことが悔しい」と田中陽。決勝トーナメント進出は次戦のスイス戦で決める。ヤングなでしこはこの引き分けを糧にする。