陽子、同郷・石川佳純と「友達になりたい」
「U20女子W杯・準決勝、日本-ドイツ」(4日、国立)
郷土愛!佳純魂で世界一だ。4日の準決勝で前回覇者ドイツと対戦する日本は2日、さいたま市内で調整。MF田中陽子(19)=INAC神戸=はロンドン五輪卓球女子団体で銀メダルに輝いた石川佳純(19)=全農=に熱烈なラブコールを送った。世界を舞台に戦う1993年生まれの2人は面識こそないが、ともに山口市育ちで、出身小学校がお隣という間柄。今大会で躍動するシンデレラガール田中陽は、五輪で快進撃を見せた石川の全試合をチェック。同郷のヒロインに刺激を受け「W杯で活躍して、友だちになりたい!」と告白した。
同郷で同い年だと知っていた。片思いの親近感を抱き、テレビの前で手に汗を握った。田中陽はロンドンで世界一を懸け激闘する石川の魂を誇りに感じ、あふれ出る郷土愛を抑えきれなかった。
「佳純さんと友だちになりたいんです。山口出身で、小学校も近いはず。確か年齢も同じだったような…。オリンピックのときも、ずっとそういう目で見て、応援していました。W杯で優勝したら、会えるかな」
陽子&佳純の共通点は多い。石川が早生まれで学年は1つ上だが、ともに1993年生まれの19歳。天才卓球少女を生んだ山口市立平川小学校は田中陽の生家とご近所。校区が異なるため、これまで接点や面識はないが、少女時代に眺めた田畑の景色や吸った空気は同じだ。12歳で親元を離れ、遠方中学に越境入学した成長過程も似ている。
石川に市民栄誉賞第1号を贈った山口市の渡辺純忠市長(67)は「頑張ってるね」と、田中陽の活躍に注目しているという。8月1日に新施行された同表彰の対象は「国際的に高く評価される栄誉を受けた者」。日本初開催の大舞台で山口産のシンデレラガールがW杯制覇の立役者となれば、「第2号」の候補者になることは間違いない。
「佳純さんがテレビで試合を見てくれていると、うれしいけど…」
陽子の思いはまだ一方通行だ。山口市生涯教育スポーツ振興課の担当者は「ヤングなでしこが優勝して、2人の対談を地元で実現できれば最高」と夢コラボの実現を期待するだけに、片思いを成就させるためには、陽子が銀メダル以上の輝きを手に入れるしかない。
「疲れもなく体も軽いので、早く試合をしたい。周りからは決勝戦を期待されている。ここまできたら、絶対に金メダルをとりたい」
この日はウオーミングアップから終始笑顔を絶やさず、紅白戦ではボランチと左サイドでプレー。前回覇者のドイツ戦に備えた。
「五輪で佳純さんを見て、すごく刺激になった。追いつけるように結果を残したい」
各世代の日本代表で国際大会に出場してきた田中陽が、佳純魂を胸に、まだ見ぬ「世界一」への扉をたたく。