鮫ちゃん昇格にジ~ン 仲間と万感
「なでしこチャレンジL、S世田谷0‐5仙台」(28日、群馬・川場)
昨年休部した東京電力が母体の仙台が優勝し、来季のなでしこリーグ昇格を決めた。先に試合を行っていた2位のFC高梁が敗れたため、結果にかかわらず昇格が決定。スフィーダ世田谷には5‐0で快勝した。8月にフランス・モンペリエから移籍加入した日本代表MF鮫島彩(25)は、東京電力時代からの仲間たちと喜びを分かち合った。
歓喜の時を迎えたが涙はない。代わりに満面の笑みがあった。鮫島は「心からこの仲間と一緒にサッカーをやりたかった。こういうときに一緒に喜び合いたい仲間。それをすごく実感できた」と、苦楽をともにした仲間への思いを口にした。
仙台は、東日本大震災の影響で活動を休止した東京電力マリーゼを移管する形で発足したチーム。鮫島は活動休止まで東京電力に所属しており、当時の同僚も多い。モンペリエとの契約が残っていながら移籍を決めたのも、仲間の存在があったから。「いろいろと周りの声もあったけど、自分の意志を持って決めたので」。自身の選択が間違いではなかったことをあらためて確認した。
お世辞にも交通の便がいいとは言えない土地で行われた試合だったが、大勢のファンが押し寄せた。中には、前日にアウェーで磐田と戦ったJ1仙台のMF関口の姿も。「モチベーション高く試合に入ることができました」。ピッチ外の仲間への感謝も忘れなかった。
試合では、仙台で定位置の2列目左サイドでプレー。前半18分には、技ありのヒールパスで、FW伊藤のゴールをアシストするなど、勝利に貢献。5‐0という結果で優勝に花を添えた。
来季からは戦いの場を1部リーグに移す。「2部でも勝つことは簡単ではない。でも、みんなともっと上を目指すためには、ここは通過点の一つと考えたい」。仲間との物語は、まだ終わらない。