桐光学園、俊輔以来16年ぶり国立へ
「高校サッカー選手権・準々決勝、桐光学園2-1作陽」(5日、三ツ沢)
2大会連続出場の桐光学園(神奈川)は、作陽(岡山)を2‐1で破り4強入りした。一度は追いつかれたものの、終了間際にエースFW野路貴之(3年)が執念の決勝弾。元日本代表MF中村俊輔(横浜M)を擁した96年度大会に続く国立の舞台に駒を進めた。星稜(石川)はPK戦を制し、日本代表MF本田圭佑(CSKAモスクワ)を擁した04年度大会以来となる4強進出を決めた。京都橘(京都)、鵬翔(宮崎)は初の準決勝進出となった。準決勝は12日に行われる。
割れんばかりの大歓声があがるスタンドに向け、背番号11は一目散に走った。「うれしくて、頭が真っ白でした」。ヒーローとなったFW野路は破顔一笑で歓喜の瞬間を振り返った。
虎視眈々(たんたん)と狙っていた。作陽はPK戦をにらんで、後半ロスタイムにGKの交代を選択。その瞬間、ストライカーの本能がうずいた。「GKが代わったので、すぐ次は相手もやりづらいだろうと。絶対にシュートで終わろうと思った」。DF大田のロングスローからのこぼれ球を右足で強振。16年ぶりの国立へと導いた。
エースの矜持(きょうじ)が詰まっていた。Jの下部組織がひしめくプリンスリーグでは得点王となったが、この試合は「チャンスを結構外していた」。佐熊監督も「代えることも考えたが、野路のことを考えれば、ここで代えると次はできなくなるかと思った」。試合前には「お前が点を取りそうな気がするな」と肩をたたくなど、信頼するエースに託した。
今季のJ1得点王に輝いたFW佐藤(広島)を手本にしている。これで大会通算3得点目。トップとは1得点差とプリンスリーグに次いでの“2冠”も視野にとらえる。「FWとして得点へのこだわりはある。自分のゴールが勝利につながるので、得点王も獲りたい」。まずは、元日本代表MF中村俊輔(横浜M)を擁した16年前と同じ決勝の舞台へ。そして、その先にある栄光へと突き進む。