愛媛けん引!新加入の吉村が新主将に
J2愛媛FCの主将に、名古屋から新加入したMF吉村圭司(33)が就任した。高知県出身で、高校時代の3年間は愛媛FCユースに所属。16年ぶりの“古巣”復帰だ。2002年から11年間、名古屋で守備的MFとして活躍し、10年にはJ1優勝に貢献した。豊富な経験と勝者のメンタリティーを持つ吉村主将を中心に、今季スローガン「一丸」のサッカーで、昨季16位からの飛躍を目指す。
新主将が黙々とピッチを走る。負荷の大きいフィジカル・トレーニングの間も、決して苦しそうな表情は見せない。その姿は、若手にとって最高の手本になるはずだ。
新加入ながら、チームのけん引役を任されたMF吉村は「責任を感じる。自分は背中で引っ張るタイプ。トレーニングも先頭切ってやることが大事」とクールに語った。
95年から3年間、愛媛FCユースでプレーした。16年ぶりに“古巣”へ帰ってきた。「愛媛は雰囲気があって好きな場所。高知の実家が近くなったのもうれしい。3年間いたことが大きなメリットになると思う」。サッカー選手としての基礎を築いた“ホーム”への思い入れは熱い。
昨年まで11年間所属した名古屋では、ボランチとして数多くの大舞台を経験。10年にはJ1制覇の歓喜も味わった。派手さはなくても、的確な戦術眼で攻守のバランスを保ち、ピンチを未然に防ぐ。堅実なパスに加え、時折放つミドルシュートは強力だ。そのプレースタイルは、ストイコビッチ監督からも絶大な信頼を受けた。
「ピクシーからは『サッカーを楽しめ』と言われ続けた。試合を楽しむには、90分間走り続けられる体力が必要。今の時期にしっかり走り込んで、愛媛でもサッカーを楽しみたい」
名古屋に妻子を残し、“単身赴任”でのプレーとなる。3歳の愛娘に会えないのは寂しいが、「そういう厳しさの中でサッカーをやるのも貴重な経験。頑張る姿を家族に見せたい」と前向きだ。
昨季16位に終わった愛媛はシーズン終了後、「15年にJ1昇格」を大目標とする3カ年計画を発表した。その初年度となる今季は「一丸」をスローガンに、1ケタ順位を狙う。5日には鹿児島キャンプがスタート。17日まで13日間、目標達成に向けた激しいトレーニングを積んでいる。
「昇格を実現しなければ、という責任は感じている。チーム一丸となって1戦1戦、大事に戦いたい」。名古屋で培った揺るぎない自信と勝者のメンタリティー。頼れる主将が、中盤の底からチームに変革を起こす。