ザック日本まさかのお預け…敵地で苦杯

 「W杯アジア最終予選、ヨルダン2-1日本」(26日、アンマン)

 日本はヨルダンに1‐2で惜敗して同組2位以内を確定できず、5大会連続5度目の本大会出場決定は6月4日のオーストラリア戦(埼玉スタジアム)以降に持ち越しとなった。B組首位の日本は勝ち点13で、ヨルダンは同7で2位に浮上した。勝つか引き分ければ本大会出場が決まった日本はMF本田圭佑(CSKAモスクワ)とDF長友佑都(インテル・ミラノ)を欠く中、FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)やMF清武弘嗣(ニュルンベルク)らが先発でけん引したが、わずかに及ばなかった。

 試合終了の瞬間、がっくりと日本イレブンは両手を膝についた。最終予選初黒星。親善試合でもない、消化試合でもない試合での初黒星。B組最下位のヨルダンに言い訳しようのない完敗だった。

 信じられない光景だった。0‐2からFW香川のゴールで1点差に迫った直後の後半25分、内田がPKを奪取した。キッカーは「PK職人」とまで呼ばれたMF遠藤。誰もが同点を信じて疑わなかった。しかし…。ゴール右を狙いすましたシュートは、相手GKシャフィにはじかれた。流れは完全に失われた。

 本田圭佑がいないと勝てないのか。最終予選で初めて本田不在で迎えた試合。代役のトップ下には香川が入った。「形にこだわり過ぎた」と不完全燃焼に終わった22日のカナダ戦よりは、清武とのコンビや自由なポジションチェンジでチャンスをつくったものの、2点差は大きかった。

 ザックジャパンはこれで20勝4敗8分けとなった。4敗中、本田不在時に3敗を喫しており、影響の大きさは否定しようがない。ザック監督が戦前に「代わりの選手が活躍してくれる」と香川に全幅の信頼を置いたが、事態は想像以上に深刻だ。

 先に試合が終わったオーストラリア‐オマーンが引き分けに終わり、引き分けでW杯出場が決まる日本には追い風が吹いていた。しかし、隣接する高台のサッカー場のフェンスによじ登ってまでヨルダン代表のプレーに狂乱する人が数十人出るほどの異様な雰囲気に、日本代表は確実にのみ込まれていった。

 試合中にもかかわらずイスラム式のお祈りを始める選手、両腕を振り上げて満員のヨルダンサポーターをあおる選手。ハーフタイムにはザッケローニ監督に向かって首をかき切るポーズをした相手選手もいた。オーストラリアが昨年9月に敗れたキングアブドラ競技場の魔力に、日本もあらがえなかった。

 敵サポーターの蛮行もすさまじかった。前半40分ごろに与えた敵FKの場面では、スタンドから緑色のレーザーがGK川島に照射された。同23分にFW前田のヘッドがバーをたたいたシーンでは、ペットボトル3本が投げ込まれた。

 B組首位を独走している状態は変わらない。W杯に王手をかけている状況も変わらない。ただ、W杯で勝つことを目標に掲げている以上、決して楽観できない状況だ。

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