FC東京・石川「特別な日」に祝砲
「ナビスコ杯・1次リーグ、FC東京2-1新潟」(15日、国立)
B組のFC東京は、20年前にV川崎‐横浜MのJ開幕戦をスタンドで観戦したMF石川直宏(32)が先制して新潟に2‐1で勝ったが、敗退が決まった。3連覇を狙う鹿島と、C大阪が1試合を残して同組2位以内を決め、ともに準々決勝に進出した。鹿島は終了直前の大迫のゴールで大分を1‐0で下し勝ち点12、C大阪は鳥栖に2‐1で逆転勝ちして同10とした。A組は横浜Mが磐田に3‐0で快勝し、勝ち点を12として首位に浮上した。川崎は大宮に勝ち、同10で2位。昨年準優勝の清水は湘南に0‐1で敗れ、湘南とともに敗退した。
20年前にスタンドで味わった興奮を、ピッチで表現した。0‐0で迎えた後半6分、左サイドのMF東からゴロのクロスが入ると、中盤から石川が突っ込んできた。約20メートルのミドルを突き刺すと、ゴール裏でひざまずき喜びを爆発させた。
他会場の結果によりナビスコ杯敗退が決まったが、試合後は「最高です」と満面の笑顔で振り返った。「(パスを)来いって強く思っていたし、いい方向で思いが形になりました」。J開幕戦の遠い記憶を思い出して、気持ちを高ぶらせて試合に臨んだ結果だった。
1993年5月15日は、当時12歳の石川少年にとって「夢が目標に変わった日」だった。当時はV川崎所属の三浦知良(現横浜FC)に衝撃を受け、今も尊敬する選手に名を挙げる。「カズさんから僕に(引き継いだ)、というのは恐れ多い」と謙そんしつつも、「自分が思ったように、子どもたちも夢を持ってやってほしい」と願った。
「最高な時間でした」という試合で1分でも長くプレーするため、後半に足がつっても自分からは交代を申し出なかった。石川と同じく20年前の開幕戦を生観戦し、得点後に「カズダンス」を踊ると宣言していたFW李は無得点に終わり「悔しいです!」と絶叫した。20年前の少年たちの思いは、確実に引き継がれていく。