寿人ハット、J初10年連続2ケタ得点
「J1、広島4-2川崎」(10日、Eスタ)
広島はFW佐藤寿人(31)が、前半に今季10得点目となる先制ゴールを決め、J2時代を含めた10年連続の2ケタ得点をJリーグ史上初めて達成した。チームも佐藤のハットトリックで川崎を4‐2と振り切り、勝ち点を30として3位に浮上。首位大宮は名古屋に2‐1と逆転勝ちし、同36に伸ばした。2位浦和はFC東京と2‐2で引き分け、同31となった。
圧巻だった。前半に2得点を奪ったFW佐藤のハイライトは2‐2の後半35分。浮き球パスでDFラインの裏に抜け出すと、ゴールまで約25メートルの距離からダイレクトでループシュート。適度なドライブ回転の弾道は、相手GKの頭上を越えてゴールに吸い込まれた。
ハットトリックを決めた芸術的な一発は、値千金の決勝点。「2点を追いつかれた悪い流れを断ち切ることができましたね」。後半40分に交代を告げられると、集まった1万236人はスタンディングオベーションで、エースを送り出した。
常にゴールに飢えている。出色の3得点目も「100点満点のシュートではない」と反省し「もっともっと成長したい」と語る。かつては、イタリア代表FWインザギを手本としていたが、「引退してしまったので、今は(イタリア1部・ウディネーゼFW)ディナターレの映像を良く見る」。35歳で、身長も同じ170センチと小柄な点取り屋。そのプレー映像を見て、インスピレーションを得ることは多いという。
この日の3発でJ1・J2通算で鹿島FWジュニーニョと並ぶ歴代最多タイの179得点。さらにこのハットがJ開幕時から、通算200度目という節目にも名を刻んだ。進化を続ける31歳。東アジア杯での代表復帰は「多分、ないと思いますよ」と謙遜するが、その輝きはまばゆいばかりだ。