北川ひかる20年東京に夢見るなでしこ

 東京が立候補している2020年夏季五輪の開催地が、8日早朝に決まる。メダル獲得が期待される女子サッカーで、7年後の代表入りが有望視されるのがDF北川ひかる(16)=JFAアカデミー福島=だ。自国開催に思いを巡らせ「なかなか機会がないのでチャンスを逃さずに、なでしこでオリンピックに出られたらいいな」と夢見る少女にとっての五輪像に迫った。

 16歳の少女にとって、日本で開催された五輪は遠い遠い昔のこと。1998年の長野冬季五輪でさえ「1歳(実際には1歳の誕生日前)だったんで…」と全く覚えていない。それでも、五輪が特別な舞台であることはよく分かっている。「自分たちの年代で盛り上がったのは北島選手の水泳とかですね。あとは陸上がボルト選手とかになるんで。ボルト選手には会いたいですね!」と愛くるしい笑顔で話した。

 サッカーで最も強い印象を受けたのは、やはり、なでしこジャパンが銀メダルを獲得したロンドン五輪だ。「澤選手を中心にあきらめない姿勢が見られたのはすごい印象に残っています」と、食い入るように見つめたという。

 いつかは自分も五輪の舞台で活躍したい‐。「東京で開催されるとなったら、お母さんたちも来てくれると思うので、そこでアカデミーで過ごしてきたことを生かしたり、自分の持ち味を発揮して活躍したいと思います」と、決意に満ちた表情で“東京五輪”への思いを口にした。

 現在所属しているJFAアカデミー福島は、日本サッカー界を背負う選手を養成するために設立された全寮制育成機関だ。幼稚園からサッカーを始めた北川は、小学4年ごろからなでしこジャパン入りを強く意識した。夢を実現するためにどうすればいいか?母・美千代さんの勧めで知ったのがJFAアカデミーだった。「(出身の)石川県は環境が整っていないというのがあって、アカデミーは寮生活なんで、過ごしやすいなと思って」と受験を決意した。

 当時は携帯も持っていなかったため、小学校の友達とはほとんど連絡を取れなくなった。「サッカーに対する思いが強かったんで」という思いを支えに、U‐16(16歳以下)日本代表に選ばれるまでに成長した。強くて、かわいい未来のなでしこ候補生だ。

 意識も高い。左サイドバック、左サイドハーフが主戦場の北川が目標にしているのは、なでしこジャパンのレギュラーだったDF鮫島(仙台)ではなく、何と男子のスペイン1部、バルセロナに所属するDFジョルディ・アルバ。スペイン代表でも活躍しており、6月のコンフェデ杯のナイジェリア戦で2得点をマークした攻守ともに世界最高峰のレベルの選手だ。

 「攻撃的なサイドバックで前線に関わって、点も決めてて…。すごい自分の憧れです。センタリングもできるし、シュートも打てるという感じになりたいです」

 2020年まで、あと7年。才能を花開かせるにはたっぷり時間がある。

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