被災地の子どもたちとカズダンス約束
J2横浜FCのカズこと元日本代表FW三浦知良(46)が27日、被災地の子どもたちに来季のカズダンスを約束した。所属クラブのホームタウン事業で、子どもに夢を持つことの大切さを授業形式で伝える「夢で逢えたら」を、東日本大震災で被災した福島県いわき市内の小学校で開催。カズダンスをせがまれたが、得点後しか踊らないことを伝え、代わりに来季の得点とダンス披露を誓った。授業後は永住権更新でブラジルに出発するため、慌ただしく帰京した。
カズダンスは時代と世代を超えていた。小学6年生への授業で、カズは「カズダンスを踊って」とリクエストを受けた。試合の重要な場面でしか披露しない儀式を、グラウンド以外で踊るわけにはいかない。「得点した時しか踊らないんだ。来季ゴールをしたらね」。そう約束して、納得してもらった。
教室に26人いた児童のうち、「3分の1ぐらいしか(ダンスを)知らなかった」とカズは苦笑した。しかし、子供たちが21世紀生まれであることを考えれば、むしろ異例なまでの浸透ぶり。全盛期が20世紀だったカズは「親御さんから聞いているようです。僕がまだ頑張らなきゃいけないんだな」と決意を新たにした。
「夢で逢えたら」は神戸時代の03年にカズが立案。ホームタウンの小学校を訪れ、夢を持つことの大切さを伝えている。横浜FC移籍後はクラブのホームタウン事業として継続。今回は復興支援を継続したいというカズとクラブ全体の思いが一致、いわき市出身のMF渡辺匠が所属していることから、初めてホームタウン外での開催となった。
カズが担当したクラスには、今も仮設住宅で暮らす児童が数人いた。横浜市内の授業では、過去の復興支援活動の際に撮影した被災地の写真を勉強のために見せていたが、今回は児童の心情を考え、あえて出さなかった。
自身の人生経験を中心に約1時間の授業を終えると、カズは「(子どもに)明るさ、前向きさがあった」と喜んだ。被災地を勇気づけると同時に、47歳で迎える来季への活力も得た一日だった。