J2昇格元年の讃岐、旋風巻き起こす
徳島ヴォルティスが四国初のJ1昇格を果たし、JFLのカマタマーレ讃岐は悲願のJ2昇格を達成。愛媛FCはJ2で17位に終わったものの、2013年の四国サッカー界は空前の盛り上がりを見せた。讃岐のJリーグ参入で、「四国3クラブ時代」が幕を開ける2014年。徳島は生き残りを、愛媛は飛躍を、そして讃岐は1年目の大暴れを期して、新たなシーズンに乗り込む。
歓喜のJ2昇格から10日後の12月18日。高松市内のホテルにスポンサー関係者ら200人が集まった「シーズン報告会」。祝福ムードに包まれる中、北野誠監督(46)はまっすぐ前を見つめ、堂々と誓った。
「ここからが本当のスタート。ようやく岡山と愛媛に肩を並べられた。次は徳島に早く追いつきたい」
隣県クラブの名を列挙した指揮官の視線は「J1」という、さらなる高みをとらえていた。
いばらの道をクラブ一丸で突き進んだ。フロント陣はスポンサー獲得に奔走。J2入会の条件として、Jリーグから厳しく指摘された資金面の課題を何とかクリアした。
選手たちはピッチで答えを出した。J2最下位・鳥取との入れ替え戦は、まさしく死闘だった。
ホーム・丸亀競技場での初戦を1‐1で引き分けて迎えた、敵地での2戦目。前半20分にFW高橋のゴールで先制したが、後半9分にDF藤田が2枚目の警告で退場。数的不利に陥ったチームはそこから41分間、猛攻に耐えた。集中を切らさず、体を張り、執念の守備でJ2昇格をつかんだ。
勝つことだけではなく、愛されるチームを目指すカマタマーレ。その名前は「釜玉うどん」と、イタリア語で海を意味する「マーレ」を合わせたものだ。エンブレムにも釜玉うどんは描かれており、しっかり地元に根付こうとする強い意欲が感じられる。
まだサッカー熱が高いとはいえない香川だが、高松市出身の北野監督は「J2昇格で変わる」と断言する。
「香川にジュビロ磐田やキング・カズが来るんです。スタジアムでサッカーを楽しむ文化ができると思う」
FW西野主将も「自分たちの町のクラブなんだ、と思ってもらえるように頑張りたい」と意気込んだ。カマタマーレのJ2元年。熱い戦いで勝利を積み重ね、讃岐の地から旋風を巻き起こす。