桐光学園、約束へ前進…亡き友への1勝
「全国高校サッカー選手権・2回戦、桐光学園1‐0高知商業」(2日、ニッパ球)
前回大会でベスト4入りした桐光学園(神奈川)は高知商業(高知)を1‐0で下した。前半14分にMF蔭山裕之(3年)がゴール前のこぼれ球を押し込み、決勝点とした。昨夏にチームメートの大西健太さんが18歳の若さで急逝。生前に約束した国立進出へ向けて、1歩前進した。全国高校総体との2冠を狙い、6度目の優勝を目指す市船橋(千葉)は中津東(大分)に1‐0を退けた。
勝利を天にささげた。サックスブルーの背番号19のユニホームは、ベンチから試合を見つめていた。「国立に連れて行くという約束があるんで」。主将のDF関根(3年)は空を見上げて言った。
大西さんの悲報が届いたのは、昨年の8月16日。6月に発熱を訴えて病院で検査を受けると「血球貪食症候群」と診断された。血液の病気で、自らの血球や血小板が低下する疾患。お見舞いには、同校OBで憧れの存在でもあるJ1横浜Mの中村俊輔も駆けつけた。完治を目指して闘病したが、大西さんの希望はかなわなかった。
大西さんは栃木県から中村俊輔に憧れて入学した。故人の熱心さをたたえ、鈴木監督は25人目の選手として今大会に登録。出場選手は他校より1人少ないが、指揮官は「色んな見方があると思うが、彼の2年半の実績などを見て、桐光の監督として判断した。僕に後悔はない」と断言した。
ベンチには、大西さんのユニホームや写真が置かれている。先制点を決めたMF蔭山(3年)は「つらい時でも、あのユニホームを見ると『もっと走らないと』と思う。アイツの分までプレーをしたい」と勇気づけらた。イレブンたちはユニホームの裏地に19を付して、今も共に戦っている。
初戦を突破し、3回戦へと駒を進めたが、硬さもあって本来のサッカーはできず。「大西も怒っているのかなと思う。アイツがやってきた2年半のサッカーは、きょう出せたものは少なかった」と鈴木監督。約束の舞台まで、負けるわけにはいかない。