J1名古屋西野監督が牟田個人レッスン
J1名古屋の西野朗監督(58)が26日、主力の大量退団で不安視されている守備を再整備すべく、新レギュラー候補の2年目DF牟田雄祐(23)に個人レッスンを施した。始動から3日目の練習で早くも発見した弱点を指摘。課題を自覚して練習に取り組むようアドバイスを送った。
Jリーグ最多勝指揮官の観察眼はかくも鋭い。練習中はほとんど口を開かず、選手個々の動きに目を凝らしていた西野監督。約2時間のメニューが終わると、おもむろに牟田を呼び寄せた。
「自分の弱点に気付いているか?」
西野監督が指摘したのは、牟田の守備の対応力に左右で違いがあるという点。体の右側に相手が攻めてくるときの反応に比べ、左の動きは微妙に劣るという。素人目には全く判別できない程度の差異だが、新監督の目には明確だったようだ。
「もしわかっているなら、自分なりに工夫してやらないと」と諭した。
身ぶり手ぶりでの指導に、牟田は「見てもらっていることがうれしい」と感謝しきり。「センターバックでも右ばかりやってきた。動きが体に染み付いてる部分があるけど、練習で改善できる」。アドバイスを受け、弱点解消を誓った。
西野監督は12月の就任会見で若手育成にふれ、「フラットな姿勢で選手を見たい。新たな可能性を呼び覚ますことがあればいい」と語っていた。言葉通りの個人レッスンだ。
DFは昨季レギュラーから増川(神戸)、田中隼(松本)、阿部(甲府)が一気に抜けた。早急にてこ入れが必要なポイントでもある。西野監督は「彼の能力は高い。特にビルドアップのセンスがある。ロングボールをはね返すだけのDFじゃない」と牟田の成長に期待する。
若手の潜在能力を発掘し、チームを強くする。実績重視のストイコビッチ前監督とはひと味違う、西野スタイルでのチーム作りの始まりだ。