メッシ原因不明の嘔吐も不安一蹴弾!

 「ブラジルW杯・F組、アルゼンチン2-1ボスニア・ヘルツェゴビナ」(15日、リオデジャネイロ)

 3度目の優勝を狙うF組のアルゼンチンが初出場のボスニア・ヘルツェゴビナを2‐1で下し、順調なスタートを切った。後半にはエースのFWリオネル・メッシ(26)=バルセロナ=が2大会ぶりの得点を奪い、1994年大会から初戦では6連勝とした。

 誰もが目を奪われた。1点リードの後半20分、FWメッシが中盤からドリブルを開始する。FWイグアインとのワンツーで抜け出すと、小刻みなステップを踏みながらさらに加速。DFを置き去りにして、小さく振り抜いた左足から放たれた一撃は、左ポストを叩きネットを揺らした。

 詰め掛けた7万4738人を魅了した7秒間。2大会ぶり9年越しとなるW杯通算2得点目は、所属するバルセロナで何度も見せた“必殺”の形から生まれた。「勝ち点3が大切だった。ボールを保持してチャンスをつくれた」。背番号10は静かに振り返った。

 開始早々の3分にはFKで相手オウンゴールを誘発。全2得点に絡みマン・オブ・ザ・マッチにも選出された。71本ものパスが集まり、チーム最多タイとなる3本のシュートを放った。サベラ監督は試合後、「メッシは世界最高の選手だ」と何度も賛辞を送った。

 過去2大会はいずれも8強止まり。クラブでの輝きをW杯で放てないエースに対し、国民からは厳しい声が浴びせられる。優勝への重圧は増すばかりだが、母国の英雄マラドーナからは「外野の言葉に耳を貸すな」とアドバイスを受けた。

 体調面も不安視されていた。今季は試合中に原因不明の嘔吐(おうと)を繰り返し、直前の親善試合(7日)でも吐き気をもよおした。この日も体を気遣うように抑えめのプレーに終始。90分間のプレーで走行距離は8・6キロにとどまったが、周囲の不安を一撃で振り払った。

 5月にはバルセロナと、世界最高となる年俸2000万ユーロ(約27億6000万円)で契約を更新した。09年から4季連続でFIFAバロンドール(世界最優秀選手賞)に輝くなどクラブでは全てのタイトルを手に入れた。唯一残された栄冠へ、決勝の舞台となる聖地マラカナンで刻んだゴールは、世界一への物語の序章となるのか。

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