本田が奇跡を起こす「あきらめない」
「ブラジルW杯・C組、日本0‐0ギリシャ」(19日、ナタル)
日本は第2戦でギリシャと0‐0で引き分け、1分け1敗の勝ち点1でC組3位となった。前半38分にMFカツラニスが2度の警告で退場し、1人多い勝機を生かせなかった。2大会連続の決勝トーナメント進出には、最終戦のコロンビア戦(日本時間25日)に勝った上で、ギリシャ‐コートジボワールの結果を待つ絶体絶命の中、FW本田圭佑(28)=ACミラン=は「最後まであきらめずにやりたい」と、“奇跡”にかける。
日本サポーターの前で、だれよりも深々と頭を下げた。想定外のドローに、本田はふがいなさをかみしめた。「2勝するしか(決勝トーナメントに)行けるすべはないと思って挑んでいた試合なので、相手ゴールを割れずに非常に残念だし、そこは、ただただ悔しい」。MVPにあたるマンオブザマッチ受賞に意味はなかった。
何よりできが悪かった。左に岡崎、右に大久保というザックジャパン初となる2列目の組み合わせで、本田は決定機をつくれない。前半29分のFKはGKに、後半21分ごろの直接FKは壁に阻まれた。両軍最多タイとなる4本のシュートを放つも仕事を果たせず、「自分たちの精度にも問題はあった」と反省した。
無得点の理由は「アイデア不足」と表現した。「(ギリシャの)強いセンターバックに競り勝ってゴールを決めるのは難しい」と、クロスボールに攻撃が偏ったことを悔いた。だが、右サイドの内田を絡めた攻撃は効果的だった。それ以前に、トップ下でボールを収められず、後ろ向きのパスも多かった。ザッケローニ監督が意図した「スピードある攻撃」を本田が打ち消したシーンは多い。
自分の力だけでは勝たせられないことを自覚している。何よりファンやサポーターの力を求めている。鹿児島県指宿市での国内合宿では、食堂から部屋へ戻るわずかな移動時間で、率先してほかの宿泊客にサインをした。米タンパ合宿でもファンの対応にはできるだけ時間を割いた。ブラジル入り後にメディアを通じて国民に応援を求めたこともその証拠だ。
絶対的なエースと言えるプレーは残せていない。それでも、「現状には満足していません。応援してくれる人のためにも勝ち点3を取りたい」と、自分を奮い立たせた。奇跡を信じる日本人の思いを背負い、コロンビアに勝つしかない。