メッシ英雄に王手!アルゼンチン決勝へ
「ブラジルW杯・準決勝、アルゼンチン0(4PK2)0オランダ」(9日、サンパウロ)
アルゼンチンがオランダと延長まで0‐0の後のPK戦を4‐2で制し、1990年イタリア大会以来24年ぶりに決勝へ進んだ。13日(日本時間14日)の決勝では、90年大会決勝で敗れたドイツ(当時は西ドイツ)を相手に雪辱を期す。アルゼンチンは大黒柱のFWリオネル・メッシ(27)=バルセロナ=が厳しいマークで封じられたが、PK戦は4人連続で決め、GKセルヒオ・ロメロ(27)=モナコ=が2本を防いだ。オランダは12日(同13日)の3位決定戦でブラジルと対戦する。
勝利の決まった味方のPKを見届けると、メッシは子供のようにはしゃぎながら、仲間とともにピッチに駆けだしていった。
延長までの120分で放ったシュートはFKの1本のみ。オランダの厳しいマークに抑えられたが、最大の目的である決勝進出は果たした。アルゼンチンから大挙押し寄せたサポーターから「メッシ」コールを浴びた主将は「このチームの一員であることを誇りに思う。決勝だ。もうひと息だ。ただ、今はこの充実感に浸りたい」と歓喜に酔いしれた。
気温15度と涼しい気候にも運動量は上がらなかった。走行距離はフル出場したメンバーで最も少ない10・494キロ。守備の負担を軽減され、自由に攻撃に専念している今大会だが、この日は試合を通じて好機に絡む場面は少なかった。
それでもやはり勝利を手繰り寄せたのは、この男だった。0‐0で迎えた今大会初のPK戦。先攻の相手の1人目が失敗した後、冷静にGKの逆を突いて左へ流し込んだ。サベラ監督が「ロッベンやネイマールも素晴らしいが、メッシが一番だ」と信頼する大黒柱が、重圧のかかる役割を務め上げ、勝利への流れをつくりあげた。
母国の英雄マラドーナはかつて86年メキシコ大会で圧倒的な輝きを放って優勝に導いた。28年の時が流れ、同じキャプテンマークと背番号10をつけるエースが、自身が唯一手にしていないタイトル、W杯制覇へ王手をかけた。相手はくしくも86年と同じドイツ。“神の子”と称されて来た27歳が、いよいよ自国の英雄に肩を並べるチャンスが巡ってきた。