大久保V弾!川崎逆転勝ちで首位と1差
「J1、川崎2-1浦和」(9日、等々力)
3位の川崎は日本代表FW大久保嘉人(32)の決勝ゴールなどで2位浦和に2‐1で逆転勝ちして勝ち点36とし、首位鳥栖との差を1に縮めた。浦和は10戦ぶりの黒星。
ゴールへの道筋は見えていた。1‐1の後半33分。川崎MFレナト、MF中村憲を経由したパスをコントロールすると、FW大久保はゆったりと、だが確実に右足を振り抜いた。「狙い通りやったね」と振り返る一撃は、緩やかなアウトサイド回転の弧を描きサイドネットへ。決勝弾。大一番で輝いたのは、やはりエースだった。
人知れず闘っていた。ブラジルW杯を終えて帰国すると、体に異変を感じたという。「疲れが取れない。走っていても、芝生に引っかかるような感覚だった」。だましだましプレーを続けていたが、2日の柏戦後にはチームと話し合って4日間の休養をもらった。
精密検査の結果は、血中の赤血球の数値低下。7日の練習から合流したが「今の状態?60%くらい」。練習期間はわずか2日。それでも決勝点を決めるエースに中村憲が「次も4日間休めばいいよ」と冗談を飛ばせば、大久保自身も「(練習を)やってなくても(得点を)取れる。申し訳ないけど」と笑う。
だが、心の底には不安を抱えていた。頭をよぎるのは4年前、南アフリカW杯後に「オーバートレーニング症候群」と診断されたことだ。脱力感などは当時とは違う感覚ながら「今回の疲労感は、4年前に似ている」と話す。足りない赤血球を補うために「あんまり好きじゃない」という赤身のステーキを食べ、処方された薬も服用。笑顔の裏で、自分と闘っていた。
上位決戦を制し、首位に肉薄。得点ランク単独首位にも立った。悲願のタイトル、そして自身の2年連続得点王へ。大久保の挑戦は続く。