大久保“出直しハット”復帰戦で達成
「J1、大宮1-3川崎」(23日、NACK)
2位の川崎は敵地で大宮を3‐1で下した。2試合の出場停止処分が明けて戦列に復帰したFW大久保嘉人(32)が04年以来、自身プロ入り2度目となるハットトリックを達成し、チームを勝利に導いた。首位の浦和はアウェーで新潟に2‐0で快勝し、4連勝で首位を堅持した。MF関根貴大(19)の好アシストから、FW興梠慎三(28)の決勝弾が生まれた。
役者が違った。8月30日の名古屋戦の試合中に広告看板を壊して2試合の出場停止処分を受けた大久保が、復帰戦でいきなり見せた。「チームに迷惑をかけたんで、今日は絶対にやってやろうと」。いつにない殊勝な言葉に偽りはなかった。
まずは前半21分。MF中村の絶妙なスルーパスを受け、右足で冷静に先制点。さらに後半6分にはDF田中のクロスを左足で押し込むと、圧巻は同34分の3得点目だ。再び中村のパスで飛び出すと、相手DFをはじき飛ばし、角度のないところから右足アウトサイドを強振。ニアサイドをぶち抜く衝撃の一発に、アシストの中村が「後ろから見てて、おおっ、おおっ!って思った」。ものが違った。
有言実行だ。出場停止期間中、得点ランク首位から陥落すると「俺は気にしてなかったけど、周りが『抜かれたな』って言うから『じゃあ、次の試合で抜き返してやるよ』って返していた」。自らに重圧をかけて臨んだ一戦で、C大阪時代の04年9月に市原戦(現千葉)で記録して以来、10年ぶり2度目のハットトリック。即座に“定位置”に舞い戻った。
約1カ月ぶりとなるリーグ戦では後半15分過ぎに両足のふくらはぎがつったという。それでも「つった状態だって決められる。3点目、そうだったからね」と言うから驚きだ。W杯以来となる日本代表再選出の声も高まるが「代表は常に入りたいところやけど自分のプレーをするだけ」。2年連続得点王、そして悲願の優勝へ。帰還したエースが、川崎を頂点へと導く。