山形準V 来季J1へ“収穫”の一敗
「天皇杯・決勝、G大阪3-1山形」(13日、日産ス)
J2ながら快進撃を続け、クラブ史上初の決勝に進出した山形は、J1G大阪に1-3で敗れ、“金星”を逃した。0-2の後半17分にFWロメロ・フランク(27)が1点を返したが、最後は突き放された。ただ、十分に存在感を見せつけ、4季ぶりにJ1で戦う来季に向けて楽しみが膨らんだ。G大阪は、5大会ぶり4度目の優勝で、史上2チーム目の3冠を達成した。
粘り強い守備で試合を進めるプランは、開始4分にいきなりヒビが入った。「(相手は)J2にはない個の力があった」と石崎監督が振り返る失点。ロングボールに対して、FWパトリックが屈強さを見せて空中戦を制すれば、そのままFW宇佐美に高い個人技でネットを揺らされた。
いきなり追いかける展開となると、前半22分にはセットプレーのカウンターから被弾。「個の能力でやられた。どちらも崩されたわけではないけど、その2点が勝敗を分けている」とGK山岸は冷静に分析する。豊富な運動量と献身性の高い山形の守備スタイルは、この試合でも光った。だが、それだけにチーム力の差もくっきりと際立った。
だが、この経験が4年ぶりのJ1を戦う来季に生きる。指揮官が「ガンバよりも『量』は走っていたかもしれないが、『質』ではまだまだ。だけど質を高めればJ1でも対応できるのでは」と自らに言い聞かせるように語った。山岸も「J1に昇格して、天皇杯で準優勝。でも『それで良かった』はダメ。悔しさを忘れず、この経験をポジティブに生かす。それがクラブの歩みになる」と呼応した。
準優勝のメダルと共につかんだ、収穫と課題、そして悔しさ。それは、飛躍を目指す山形にとって大きな財産となる。