香川西「堅守速攻」で全国8強だ
「全国高校サッカー選手権・1回戦、岐阜工-香川西」(31日、味フィ西が丘)
香川西が、全国高校サッカー選手権(30日~来年1月12日、埼玉スタジアムほか)に9年連続10度目の出場を決めている。PK戦の末に初戦敗退した昨年度大会の悔しさを胸に、チームは伝統の「堅守速攻」に磨きをかけてきた。まずは大みそかの1回戦で強豪・岐阜工と対戦する。
9年連続10度目の全国舞台。香川西の初戦の相手は、25度目出場の常連・岐阜工に決まった。今年の春と夏に練習試合で計3度対戦し、1度も勝てなかった強敵だ。
「ウチと同じスタイルのサッカーで、力的には相手が上。少ないチャンスを決められるかどうか」。同校校長で就任32年目の大浦恭敬監督(57)は、試合のポイントをそう説明した。
今年のチームは発足当初、パスを回して主導権を握るポゼッションサッカーにトライしていた。しかし、夏の県高校総体は決勝で敗退。夏休み中の県外遠征でも、全国レベルの強豪を相手に敗戦を重ねた。
主将のエースFW藤岡航世(3年)は「しっかり守ってタテに速く攻めるサッカーをしないと、全国では勝てないと痛感した」と振り返る。そこからチーム全員で話し合い、スタイル変更を決断。ハードワークでボールを奪い、サイドを使って攻め上がる同校伝統の「堅守速攻」を磨いて、9年連続の全国切符をつかみ取った。
県大会後、中盤を構成するMF田代公彦(3年)、MF秋山和大(2年)、MF福島崇斗(3年)の主力3人が相次いで故障した。
戦力総仕上げの段階で思わぬアクシデントだが、福島崇は「ランニングも再開したし、本番には間に合う。士気は高まっている」と、左膝亀裂骨折からの復帰へ前向きだ。DF浪越悠太(3年)は「雰囲気はいい。みんなの気持ちが一つになっている」と話した。
昨年は初戦で帝京三(山梨)と対戦し、PK戦の末に敗れた。その悔しさをピッチで経験した藤岡主将は「自分たちが香川西の新しい歴史をつくりたい」と力を込める。同校の過去最高成績は16強。それを超える「8強」がチームの目標だ。
藤岡にとっては「Jリーグ入り」の夢も残っている。まだ卒業後の進路は未定で「選手権が最後の就職活動と思っている」。県大会準決勝で4得点を挙げたように、ゴール量産でチームに勝利をもたらし、全国に存在をアピールするつもりだ。
「この9年間で一番弱いチーム。まずは初戦に集中したい」と大浦監督。全員一丸の堅守速攻で、2年ぶりの白星をもぎ取る。