徳島市立「経験」武器に目指す初戦突破
第93回全国高校サッカー選手権(来年1月12日決勝、埼玉スタジアムほか)は30日に開幕する。徳島県代表の徳島市立は2年連続14度目の出場。昨年度大会を経験したメンバーが多く残り、豊富な経験を武器に「ベスト8」を目標に掲げる。大みそかの初戦の相手は神奈川県代表の日大藤沢で、会場は横浜市のニッパツ三ツ沢球技場。“完全アウェー”の戦いが予想される中、初戦突破を果たして勢いをつける。
徳島市立にとっては厳しい条件の初戦となった。相手は神奈川代表の日大藤沢。会場は神奈川大会決勝の舞台でもあったニッパツ三ツ沢球技場。試合当日は敵の大応援団がスタンドを埋めるだろう。
「完全アウェーですね。どんな雰囲気になるのか分からないけど、臆せずにやりたい」。背番号10のMF中峯正博主将(3年)は表情を引き締めた。
地の利はなくても、今年の徳島市立には「経験」という武器がある。
若いチームで挑んだ昨年度大会。PK戦にもつれ込んだ帝京長岡(新潟)との激闘を制して初戦を突破した。2回戦で履正社(大阪)に0-1で敗れたものの、自分たちの力が全国でも通用するという手応えをつかんだ2試合だった。今年のレギュラー11人のうち、6人がその前回大会を経験している。
今夏の全国高校総体にも出場し、1勝を挙げた。さらに、四国の高校とJクラブのユースチームが参戦する「プリンスリーグ四国」も優勝。全国リーグにあたる「プレミアリーグ」への参入戦に進み、敗れたとはいえFC東京ユースと0-1の接戦を演じた。
「FC東京戦はチームが一つになって戦えた。すごくプラスになった」と中峯主将。大舞台で培ってきた自信が、大みそかの初戦に生きるはずだ。
持ち味は躍動感のあるパスサッカー。右サイドハーフのMF中峯、左のMF岸田大世(2年)ら運動量豊富な攻撃陣がポジションチェンジを繰り返して相手守備を切り崩す。
184センチの長身DF辻拓也(3年)を中心に守りも堅い。攻め切れなかった昨年度大会の反省から、この1年間は守備陣もパスの精度アップに取り組んできた。「後ろからも攻撃の起点になれるように意識している」と辻。同校OBで就任2年目の河野博幸監督(40)は「昨年は守り一辺倒のチームだったが、今年は細かくパスをつないで攻撃できる」と手応えを口にする。
偶然にも、同監督が徳島商を率いて出場した07年度大会も初戦で日大藤沢と対戦。会場も今年と同じ三ツ沢球技場だった。惜しくも1-2で敗れた試合を思い出し、「そのときも日大藤沢の応援団がすごい声援で、やりにくかった。条件は相手が有利。いかに開き直れるかが大事」。指揮官が味わった7年前の経験もまた、初戦のピッチで生かされるに違いない。
MF中峯主将は「目標はベスト8」と語り、「昨年の経験があるから、今年はそれほど緊張しないと思う。積極的にプレーしたい」と闘志をみなぎらせた。河野監督も「チャンスはある」と力を込めた。まずは完全アウェーの初戦を突破して勢いをつけたい。