星稜、涙の初V!入院中の監督に贈った

 「全国高校サッカー選手権・決勝、星稜4-2前橋育英」(12日、埼玉)

 決勝が行われ、前回準優勝の星稜(石川)が延長戦の末に4-2で前橋育英(群馬)を下し、25回目の出場で悲願の初優勝を果たした。石川県勢の優勝は初めて。星稜は1-2で迎えた後半に同点とし、延長戦でFW森山泰希(3年)が2ゴールを決めた。大会直前に交通事故に遭い、ベンチに入れなかった河崎護監督(55)に大きなプレゼントを届けた。

 試合終了の笛が鳴ると、星稜イレブンは喜びを爆発させた。前々回大会の4強、前回の準優勝を経て、ようやく手にした高校日本一の栄冠。「我慢していた分、もういいかな」。DF鈴木主将の目から、こらえていたものがあふれ出した。

 先制したが、後半に逆転される苦しい展開となった。2-0から逆転負けした1年前の苦い記憶が選手の頭をよぎったが、鈴木は「逆に力が入った」と冷静だった。森山も「まだチャンスはある」と仲間を鼓舞した。

 DF原田のゴールで同点に追いつき、延長戦に突入。森山は「俺が決める」と宣言してピッチに向かった。その言葉通り、延長前半5分、ゴール前でボールを持つと左足を振り抜き、ゴール左隅へ決めた。試合終了間際にももう1点決め、「出られないメンバーの分も決めたかった」と、真っ先に星稜スタンドへ駆け寄った。

 前回の決勝は途中交代という悔しさを味わった。「今年はフル出場できるようにしてきた」。前線から走り込み、献身的に守備をする点取り屋が、大一番で本領を発揮した。

 試合直前、木原監督代行が入院中の河崎監督からのメッセージを読み上げた。「3年生は悔しさを知ってる学年だから日本一になれる。経験したことを生かせ」。熱い言葉にイレブンは涙を流し、闘志を奮い立たせた。

 「チームのためにプレーしろ」と口酸っぱく言ってきた河崎監督の下で、日本代表FW本田をはじめ先輩たちが星稜サッカーを積み重ねてきた。恩師を悲願の頂点へと導いた鈴木は「星稜の強さの源は河崎監督の存在です。新しい歴史をつくれて光栄。監督に、先輩たちに感謝」と晴れやかな表情で胸を張った。

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