ピッチ内外澤一色「泥臭く」中央に君臨
「サッカー・皇后杯・準々決勝、INAC神戸2-0AS埼玉」(19日、味の素フィールド西が丘)
今季限りでの引退を表明した日本代表MF澤穂希(37)が所属するINAC神戸は、AS埼玉に勝ち4強入りした。澤は中盤でフル出場。得点やアシストはなかったが、澤を中心にチームは一致団結し、2年ぶりの優勝へ前進した。23日の準決勝(等々力)はINAC神戸-仙台、日テレ-新潟の組み合わせとなった。
ついに始まった引退へのカウントダウン。派手さはないが「泥臭く」。そんな澤の存在がチームを4強へ導いた。フル出場で勝利に貢献した澤は「自分なりに一生懸命やった。1日でも長く、みんなと練習や試合をしたい気持ちを出せた」と納得した様子で話した。
負ければ最後となる試合だが、「この試合だけが特別でなく、どの試合も特別。その中の1試合」と平常心で臨んだ。いつもの大黒柱の姿にチームも一つになった。前半9分にDF近賀がこぼれ球を押し込み先制。同19分にはFW高瀬のミドル弾で追加点を奪った。
早い時間帯に2点を奪う優位な展開。澤はピッチの中央でバランスを取りながら体を張った。前半40分に厳しいマークでボールを奪い、クロスを供給。味方に合わず天を仰いだが、見せ場はしっかりとつくった。後半2分は味方のシュートのこぼれ球に詰め、同14分にはクロスを上げようとする相手に詰めてボールを奪った。何度も相手の攻撃の芽を摘み取り、近賀は「また澤さん。ここにも来てくれる。澤さんって何人いるんだろうと思った」と驚嘆した。
得点やアシストはなかったが、「いつもよりは前に絡める機会が多かったんですけど。(得点は)次に残しておいたのかな。前向きに」と澤。準決勝の相手は、夫の辻上裕章氏(39)が運営・広報部長を務めるJ1仙台の女子チームだ。フィナーレを飾る有終Vまであと2勝。「絶対に優勝したい」。これがW杯を制し、バロンドールも取った女子サッカー界のスターが掲げた最後の目標だ。