東福岡・藤川虎太朗“火の玉ショット”
「全国高校サッカー選手権・準決勝、東福岡2-0星稜」(9日、埼玉スタジアム2002)
準決勝2試合が行われ、3度目の優勝と高校総体との2冠を目指す東福岡は、星稜(石川)を2-0で下し、98年度の第77回大会以来17年ぶりの決勝進出を果たした。前半45分にMF藤川虎太朗(2年)が先制ゴールを奪った。国学院久我山は2-1で青森山田を破り、7度目の出場で初の決勝進出を決めた。決勝は11日に埼玉スタジアムで実施される。
“猛虎弾”で決勝への切符をつかんだ。0-0の前半終了間際、藤川虎太朗の目がギラリと光る。「相手が疲れているのが見えた」。左サイド深い位置からの折り返しを受けると、切り返しから左足を強振。“火の玉ショット”は、ゴール右側のサイドネットに突き刺さった。
思いが詰まった一撃だ。チームが優勝した昨夏の高校総体。藤川は5得点で得点王に輝くも、9月に負傷した右足首の影響もあり、準決勝が今大会初先発だった。その苦しい状況で支えとなったのがチームの倉橋宏和トレーナーだという。
「絶対にチャンスは来るから」と藤川は何度も言葉をかけられ、先発が決まった星稜戦前には「点決めたら、ベンチに来いよ」と送り出されていた。その言葉通り、得点を決めた藤川はベンチへと走り倉橋トレーナーと固く抱き合った。
寅年生まれから両親に「虎太朗」と名付けられた。ゴールは利き足とは違う左足だったが「もともとはボールを投げるのも、箸を使うのも左だった。小学校に上がってから矯正する中で、自然と利き足も右足になった」。そんな経緯もあり、左足のキックも強烈なものを持っている。
初先発初得点の大仕事で「やっとスタートラインに立った」という藤川。「あと1試合、チームのために戦いたい」。胸に一層の猛虎魂をたぎらせた。