東福岡5発圧勝V、汚名返上2冠締め
「全国高校サッカー選手権・決勝、東福岡5-0国学院久我山」(11日、埼玉スタジアム)
東福岡(福岡)が、国学院久我山(東京A)に5-0で快勝し、2連覇した98年度大会以来、17大会ぶり3度目の優勝を果たした。前半36分にMF三宅海斗(3年)が先制し、その後は主将のMF中村健人(3年)の2得点など5ゴールで圧倒し、昨夏の全国高校総体と合わせて、03年度の国見(長崎)以来の2冠を達成。初の決勝に臨んだ国学院久我山は、帝京以来24大会ぶりとなる東京都勢の制覇はならなかった。得点王には通算5ゴールを挙げた帝京三(山梨)の村上光樹(3年)が輝いた。
もう誰も彼らを「最弱の世代」とは呼ばないだろう。東福岡が、圧巻の5発で日本一。「最後にして最高の結果を出してくれた選手たちは、本当に素晴らしい」。就任14年目の森重監督は目を細めた。
3年生たちは入学当初、コーチングスタッフから「史上最弱の世代」と言われた。福岡県内の新人戦でもあっさりと敗退。「その評価を覆してやる、と思って3年間やってきた」。中村の言葉通り、反骨心を胸にチームは一枚岩となり、そして成長してきた。
2冠への道のりは決して平たんではなかった。Jクラブのユースと高校のトップチームで争う昨年8月末の高円宮杯U-18プレミアリーグでは、3-0から名古屋U-18に4失点して逆転負け。選手間ミーティングでは、中村の「(高校総体は)個人ではなく、チームで勝った大会。もう一度思いだそう」との言葉が繰り返された。
たくましさが表れたのは後半2分だ。味方が壁を作り、移動する隙に中村が直接決めたトリックプレーのFKは、高校総体で対戦相手の立正大淞南(島根)が放ったものだった。「何が何だか分からないまま蹴られていた。『あ、これマネしよう』と。決勝まで取っておいたプレー」と中村。前日練習では10本中1本しか決まらなかったが、ここ一番でスペシャルプレーを成功させた。
中村は、反骨心から始まった3年を「スタッフを見返したいと思ってやってきたが、(森重)監督を胴上げした時、自然と感謝の気持ちしかなかった」と振り返った。熱く、濃く過ごした3年間。若武者たちは確実に強くなった。