名古屋・小倉新監督「ほっと」感激1勝
「明治安田生命J1、磐田0-1名古屋」(27日、ヤマハスタジアム)
90分間張り詰めていた空気が一気に解放されると、名古屋・小倉隆史新監督(42)は静かに両手を握りしめた。記念すべき監督1勝。「非常に大きい勝利。ほっとしている」と胸をなで下ろした。
監督業、GM業ともに未経験で就任した全権監督。その重圧は想像以上だった。昨年末、残留を信じていたレギュラーDFの本多を流失。慌てて声をかけた別の左サイドバックには「もっと早く言ってくれれば」と断られた。「オレ、バカ正直だからさ。両てんびんにかけたり、うまくやれないんだよ」と関係者に涙声で吐露した。
そんな編成の駆け引きに苦しみながら選んだ選手たちは「小倉さんのために」と一丸となった。序盤は硬さが目立ったが、流れを変えたのはFWシモビッチ。前半29分、矢野からのクロスを199センチの長身を生かしたヘディングシュートで先制点を奪った。後半は一方的に攻め込んで、隙を見せなかった。
それでも指揮官が「理想ははるか先。まだまだ足らないところが多い」と話すとおり、この1勝は始めの一歩にすぎない。次戦は昨季王者の広島をホームに迎える。真価が問われるのはこれからだ。