浦和10年ぶりリーグ優勝王手!主将阿部PK決めた 大きなアウェーゴール

 「明治安田生命J1チャンピオンシップ・決勝第1戦、鹿島0-1浦和」(29日、カシマサッカースタジアム)

 ホームアンドアウェー方式の決勝第1戦が行われ、浦和(年間勝ち点1位、第2ステージ優勝)が鹿島(同3位、第1ステージ優勝)を1-0で下して先勝した。浦和は後半12分にMF阿部勇樹(35)が決めたPKでの1点を守り切り、06年以来10年ぶりの年間優勝に前進した。第2戦は12月3日に埼玉スタジアムで行われる。年間優勝のチームは同8日開幕のクラブW杯に開催国代表として出場する。

 10年ぶりの優勝へ、浦和が大きな勝利を手にした。貴重なアウェーゴールをもたらしたのは、2人のベテランだった。0-0の後半12分、MF柏木のクロスに走り込んだ30歳のFW興梠がペナルティーエリア内で鹿島DF西に倒されPKを獲得した。「FWとしての駆け引き。ボールを見ていて力が抜けた時に(当たりが)来た。うまく駆け引きに勝った。(西)大伍には『お前若いな』と言っておきました」としてやったりの表情で笑った。

 キッカーを務めるのは35歳の主将MF阿部。「決めなければいけないPKだった」と重圧がのしかかる。だが、ゴールの向こう側に見えたレッズサポーターの“赤い壁”に「怖いものはない。リラックスして、楽しんで蹴れた」と冷静にゴール正面へ蹴り込み、マン・オブ・ザ・マッチを獲得した。

 阿部は07年に市原(現千葉)から完全移籍で加入し、その年にアジア・チャンピオンズリーグ優勝を成し遂げたが、リーグ優勝の経験はない。10年にイングランド2部(当時)レスターに渡り、12年に浦和へ復帰する際には「やり残したことがある」と話していた。今季は史上最年少でJ1通算500試合出場を達成。浦和在籍が計8年半を数える“レジェンド”が、ついに悲願を成就させる時が来た。

 後半は計11本のシュートを浴びるなど防戦一方となったが、同29分には武藤に代えてボランチのMF青木を投入。鹿島のお株を奪うような盤石の試合運びで逃げ切った。阿部は「まだ何も決まっていない。次の試合に勝った方が優勝と思った方がいい」と表情を引き締めた。2戦合計180分間の“前半”を終えたに過ぎないことを強調した。

 それでも、チーム内には確信が満ちている。無失点に貢献したDF槙野は「チャンピオンにふさわしいチームになってきた」と言い切った。大きなアドバンテージを得て、ホームに鹿島を迎える。赤く染まったスタジアムで、浦和が戴冠を果たす。

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