新生FC東京が王者鹿島倒した 大久保開幕弾ならずも闘魂「顔面狙った」シュートも
「明治安田生命J1、鹿島0-1FC東京」(25日、カシマサッカースタジアム)
明治安田生命Jリーグは、J1・8試合で25年目のシーズンが開幕した。元日本代表FW大久保嘉人(34)が加入した昨季年間9位のFC東京は、アウェーで昨季覇者の鹿島を1-0で破った。後半37分にオウンゴールで先制し、1点を守り切った。FC東京がカシマスタジアムで勝ったのは、リーグ戦では07年6月30日以来、10年ぶり2回目。鬼門を突破し、初優勝へ白星発進した。
勝利の瞬間、FW大久保嘉は空に向かって吠(ほ)えた。「ホッとした。不安だったし、相手も鹿島だったし。どんな形でもいいから、勝てればと思っていた」。選手たちは抱き合い、ベンチ前でも歓喜の輪ができた。その光景が、この一戦への意気込みを示していた。
耐えてつかんだ勝利だ。昨季王者に危険な場面も作られたが、DF森重らを中心に体を張って防ぎ続けた。後半14分には絶体絶命の場面を迎えたものの、GK林が左手一本でビッグセーブした。
同37分、途中出場のMF中島がミドルシュートを放つと、大久保嘉とMF永井がこぼれ球を狙って猛突進。34歳のベテランが「ピッチの状態も悪かった。何かが起こる可能性があった」と語るように、相手GKがはじき、オウンゴールを導き出した。
“新生FC東京”の船出だった。11人を放出し、12人を新戦力として獲得。約3分の1の顔ぶれが変わり、この日の先発も5人が新加入選手だった。
川崎から加わった元日本代表は「相手のGK(権純泰)はJリーグが初めてだから脅威を与えたかった」と前半7分にチーム最初のシュートを放ち、後半14分にはCKから決定機に顔を出した。至近距離からのボレーは惜しくも外れたが「(GKの)顔面(脇)を狙ったが、タイミングがずれた」と語るなど、闘争心を植え付けた。
大久保嘉について篠田監督は「練習から手を抜かない姿勢を見せてくれて驚いている。若手にも、元からいた選手にも刺激になっている」と絶賛。34歳のストライカーは「みんな戦えていたんじゃない?」と振り返った。
強力な個性を持つ歯車は、完全にはかみ合っていない。ただ、大久保嘉は「今日勝ったことで、チームは絶対に良くなる」と言う。悲願のリーグVへ、FC東京が最高の形で第一歩を踏み出した。