交渉人ハリル監督のゴリ押し実った イランの劣悪ピッチの環境向上
「W杯アジア最終予選、イラク-日本戦」(13日、テヘラン)
試合会場であるパス・スタジアムのピッチ整備が改善されたことが10日までに判明した。劣悪なピッチコンディションに対して、バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は会場変更の要求や、ピッチの整備を訴え続けてきたが、連日のケアで環境は向上。タフな交渉が実った形だ。日本代表チームはこの日午後に調整。勝てばW杯出場に王手がかかるイラク戦に向け、追い風が吹いてきた。
“タフ・ネゴシエーター”の激烈プッシュがアウェーの環境を改善させた。試合会場となる、テヘラン市内のパス・スタジアム。ハリルホジッチ監督が、ことあるごとに「ピッチの状態が良くない」と口にしていたグラウンドは、徐々にだが変わりつつある。
青々とした芝生には水がまかれ、鉄輪のロードローラーが、丹念にピッチを回る。「ここのところ毎日のように作業しているよ」。会場関係者はローラー機材を運転しながら語った。芝生の長さは30ミリ超。試合を行うには長いが、責任者の男性は「試合当日も含め、2度はカットする予定だ」と親指を立てた。
事の発端は4月だ。政情不安でホーム戦の母国開催が不可能なイラクとの対戦会場が、テヘランに決まると、指揮官は「より良い環境でやれるように変更を要求している」。この要望は即時却下されたが、ハリル監督は諦めない。チーム関係者を現地に派遣し、幾度となく状況の改善を要求。メンバー発表時には「毎週毎週、現地からピッチの状態がどうか、われわれの耳に入ってきている」と話していた。
イランにとっては、イラクも日本も第三国だ。それでもピッチ責任者は「(外国から)こうして細かく要求が来るのは初めてだよ」と苦笑いしながらも、黙々と作業をこなしていた。もちろん、ピッチ管理の行き届いている日本に比べれば、完璧な環境とは言えないだろう。ただ、当初危ぐしていたほどの劣悪さはなさそう。勝つためには、まず行動ありきのハリルイズムで、勝利をつかみ取る。