開講!デイリー特別講座 FIFAランクのしくみ教えます!

 16日に発表された国際サッカー連盟(FIFA)のランキングで、日本は前回発表よりも四つ順位を落として44位になった。12月1日に行われるW杯ロシア大会の組み合わせ抽選では、今回のランキングによって出場権獲得チームが格付けされるが、そもそもランキングはどのようにして決まるのか。ランキング規定の詳細とともに、W杯の組み合わせ抽選方式を解説する。

 各代表チームの実力を数値化したFIFAランキングは1993年に始まった。W杯など国際大会でグループ分けなどを決める際の物差しとして使われ、何度か算出方法が改正される中で、2006年から現行規定になった。原則、毎月発表される。

 ランキングの対象は過去48カ月の国際Aマッチ。「結果」「試合の重要度」「対戦国間の強さ」「大陸連盟間の強さ」の4項目からポイントを算出する。

 「結果」は勝ちが3点、引き分けが1点、負けが0点、PK勝ちは2点、PK負けは1点と規定。「試合の重要度」は親善試合や東アジア選手権などの小規模大会が1点、W杯予選が2・5点、アジアカップ、欧州選手権などの大陸選手権が3点で、W杯本大会は4点。文字通り、重要な大会ほど点数が高い。

 「対戦国間の強さ」は相手がランク1位ならば200点。2位~150位までは200から相手順位を引いた点数、同150位以下は一律50点となる。

 大陸間に「大陸連盟間の強さ」という項目で格差も設けている。直近のW杯ブラジル大会で優勝したドイツが所属する欧州は1点、南米は0・99点、その他の大陸はすべて0・85点。対戦する大陸連盟が異なる場合は足して2で割る。

 これら4項目の点数を掛けたものが獲得ポイントになる。負けた場合は0点を掛けるので、例え強豪国に善戦しても一切ポイントは入らない。

 実際に、日本がニュージーランドと対戦した6日の親善試合の獲得ポイントを算出してみたい。

 2-1で勝利したため「結果」は3点。「試合の重要度」は親善試合のため1点。「対戦国間の強さ」はニュージーランドのランクが113位だったため、200-113で87点。「大陸連盟間の強さ」はアジア連盟、オセアニア連盟ともに同カテゴリーのため0・85点。これらを掛け合わせた3×1×87×0・85=221・85が獲得ポイントになる。

 こうして得られた獲得ポイントを12カ月ごとに合算し、その間の消化試合数で割って平均値を出す。さらに直近1~12カ月の平均値は100%、13~24カ月は50%、25~36カ月は30%、37~48カ月は20%の割合を掛け、合算したものがランキングポイントになる。

 日本は現在44位。34位イラン、43位オーストラリアに次いでアジア3番手に位置する。現行規定下で最高順位は、11年4月と6月の13位。「試合の重要度」で点数が高いW杯の10年南アフリカ大会で1次リーグ2勝を挙げて16強入り、11年1月のアジアカップ優勝も効いて、W杯前の45位から大きくランクアップしたことがある。

 計算式は複雑だが、根底にある考え方は至ってシンプルだ。「よりランキングが高い代表チームに、より重要度が高い大会で、継続的に勝つ」。これが実現できれば、ランクは確実に上がっていく。

 先に述べたように「大陸連盟間の強さ」でアジアや北中米、アフリカ勢などは欧州や南米勢に比べて格差を付けられており、同じ1勝でも点数が低く出るためランクが上がりにくいという現実がある。大陸ごとで大陸選手権の開催頻度、試合数も違うため公平性の観点で疑問も残る。ただ、過去4年間の成績を含めている点、代表レベルの最高峰であるW杯本大会の成績を最も重視している点を踏まえれば、おおむね代表チームの実力を反映しているランキングだと言えるだろう。

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