ハリル日本、ビデオ判定にも泣き1-3完敗 槙野弾で11年ぶり得点も遠い初勝利
「国際親善試合、日本1-3ブラジル」(10日、リール)
日本が前半に喫した3失点の影響が大きく、後半にDF槙野智章(浦和)のヘディングで1点を返したものの、初勝利はならなかった。中でも先制点を献上したPKは、日本代表が初体験するアシスタントビデオレフェリーを利用し、DF吉田麻也のファウルがプレーの後で認定されたもの。ロシアW杯で導入される可能性のある制度を体験できたことは収穫だったが、前後半で内容に差がありすぎるなど、課題の大きい試合となった。これで対戦結果は12試合で2分け10敗となった。
ハリルホジッチ監督は「残念な前半だったと思います。ブラジルを見て驚いてしまったことはあったかもしれません。その中で、我々がブラジルにチャンスを与えたこともあり、ブラジルがうまくついた」と先制されたことを悔やんだ。後半だけを見れば日本が1-0と上回ったことに、「後半を見れば我々も勇気づけられた。後半だけ見れば我々は勝ちました。たくさんのことがこのゲームでは見られる。結論を出せる。改善できることころは改善できると思います」と語った。
日本イレブンが困惑したのは前半8分ごろ。前半7分にブラジルのCKで、DF吉田麻也がエリア内で相手選手に手をかけて倒すシーンがあり、これを主審は流していたが、ビデオアシスタントレフェリーの申し出で、リプレーを確認。吉田のファウルが認められ、イエローカードが提示された。
このPKを前半10分、ネイマールに決められ先制点を献上すると、同17分にはCKのこぼれ球を井手口が処理しきれず、マルセロに豪快な右足ミドルを突き刺された。さらに、同36分にはカウンター攻撃から日本の左サイドに展開され、最後はグラウンダーをガブリエルジェズスに押し込まれた。
後半は日本イレブンの動きも良くなり前線で積極的にボールを奪うシーンもあった。そして、同17分。井手口の左CKを逆サイドで槙野が頭で合わせ1点を返した。日本のブラジル戦のゴールは06年ドイツW杯で玉田圭司が挙げて以来、11年ぶりだった。
しかし、ブラジルは点差がついた場面ではペースを抑える力の抜きどころを熟知したチーム。要所を抑えられた日本は後半ロスタイムのカウンター攻撃でも、エリア内に進入した浅野に右からのパスが合わず、ゴールはならなかった。
前半の早い時間帯でビデオ判定によるPKで先制を許したことで、緊迫感のある時間が著しく短くなってしまった。MF長谷部も「もったいないゲームかなというのが正直な感想」と複雑な表情で語った。