元日本代表・加地 惜別の胴上げ 最後に熱いエール「岡山がJ1に上がるのを見たい」
今季限りでの引退を発表したJ2ファジアーノ岡山の元日本代表DF加地亮(37)。3日には今季チーム最後の全体練習に参加し、岡山市の政田サッカー場には今季最多のファン510人が集まった。これが現役最後の練習となった加地はチームメートから胴上げで見送られ、「ジーンときた。幸せなサッカー人生だった」と20年間の現役生活に別れを告げた。
元日本代表戦士が20年間の現役生活に別れを告げた。最後の練習となった3日、政田サッカー場には今季最多となる510人のファンが集結。ミニゲームなど約1時間半のメニューを終えたあと、仲間から胴上げで見送られた加地は「ジーンときました。幸せなサッカー人生でした」と感慨深げに話した。
兵庫県出身で、1998年にプロデビュー。C大阪、大分、FC東京、G大阪で活躍し、2006年には日本代表としてワールドカップ(W杯)ドイツ大会に出場した。14年には米国でのプレーも経験。帰国後の15年に岡山に加入した。
クラブの悲願、J1昇格を目指してプレーした3年間。昨年はプレーオフ決勝まで進んだが、あと一歩で昇格には届かなかった。今季は夏場にろっ骨を骨折。約2カ月間の長期離脱を余儀なくされた。「復帰したあと、自分が頭で思っていることと体が一致しなくなった」。11月27日に行われた会見で、加地は引退決断の理由をそう語った。
会見では今後について「妻がやっているカフェを一緒にやろうと思う」と話した。当面はサッカーから離れ、夫人が大阪で営む飲食店の経営に参加するという。
「終わりという実感は全然ないです。これからも(練習が)続くんじゃないかと、変な感じ。でも寂しさはないですね。今まで十分すぎるほどボールを蹴りましたから」
引退発表後は連日、全国から多くの加地ファンが政田サッカー場を訪れた。加地は練習後、毎日約2時間をかけて一人一人と丁寧に握手を交わし、サインに応じていた。
今季チームは13位に終わり、昇格の夢は来季に持ち越された。「J1に上がれば世界が変わる。それを体験できるだけでも人生が変わる。僕も岡山がJ1に上がるのを早く見たい。来年、頑張ってほしい」。最後に加地は、チャレンジを続けるクラブに熱いエールを送った。