C大阪・杉本“当落線上”から成り上がる ロシアW杯まであと半年「絶対結果残す」
サッカーのW杯ロシア大会(18年6月14日~7月15日)は14日、開幕半年前を迎えた。6大会連続出場の日本は1次リーグH組でポーランド、セネガル、コロンビアと対戦する。C大阪FW杉本健勇(25)は今夏以降、日本代表に定着し、Jリーグで得点ランキング2位の22得点を挙げるなど大きく飛躍を遂げた。現在開催中の東アジアE-1選手権は左肋骨骨折と左足首の故障のため途中離脱したが、出場すれば自身初となるW杯への思いを語った。
-W杯とはどういう存在か。
「小さい時に(02年)日韓W杯を見て、僕もこういうふうになりたいと思った。今、そこに出られるチャンスがある。(W杯メンバー)23人に割って入るのは並大抵の努力では無理だと思う。偉そうな言い方になるかもしれないが、W杯に出るだけじゃ意味がない。出るのが目標じゃなくて、出て強豪相手に勝ち、自分が点を取って活躍したい」
-今季が始まる時、来年のW杯に出場することは考えられたか。
「最初に(代表に)入ったのが8月。もう入らなヤバイなと思っていたので、チャンスだと思った。でも(W杯出場を決めた)オーストラリア戦はベンチ外だった。本当に悔しかったし恥ずかしかった。めっちゃ応援されて期待されて、試合が始まったらベンチにすらいない状況。こんな屈辱はない。絶対また頑張って結果を残したるという気持ちになった」
-11月にはブラジル、ベルギーと対戦した。足りないと感じたものは。
「いや、もう全部でしょ。でもかなわない相手とは思わなかった。もちろんレベルの差は感じたけれど、勝てる可能性は十分ある」
-継続的に選ばれるようになって、代表での立ち位置に変化は。
「まだまだ立ち位置なんてないし、継続的に結果を残していかないといけない。自分なんて(当落線上)ギリギリのところだと思う。それでも1トップなので試合に出たら、自分が中心というくらいの気持ちでプレーしないといけない」
-今季自己最多の22得点。ゴールを重ねられた理由は。
「急激にサッカーがうまくなることはない。気持ちの部分であったり、準備を徹底的にやってきた。本当にサッカーに対して100%注いできたので、結果に表れるとすごく自信にもなる。でも自分一人で結果を残せた訳ではない。味方が自分にボールを集めてくれた。そういう信頼関係が築けているというのを、毎試合実感できたことが幸せでした」
-昨季は左サイドだったが今季はFWに固定された。
「左サイドで1年間プレーして流れや形に自信が付いた部分もあったので、FWをやっていて最初はすごくやりにくかった。やっぱり左に戻りたいなと逃げの方に回って葛藤していた。でも元々、自分がやりたかったのは一番前ですし、俺はストライカーになりたかった。尹監督にはシーズン前から『お前は前線の選手』と言われてきた。結果が出ない時も使い続けてくれて感謝している」
-以前は遠慮がちだったが、地面をたたいて悔しがったり感情が表に出るようになった。
「川崎で一緒にプレーした(大久保)嘉人さんの存在には衝撃を受けた。点を取る人のメンタリティーや姿勢がすごくて、変わったのはそこから。(当時J2の)C大阪に戻る時、絶対にこの1年でJ1に上げるという覚悟を決めて戻って来た。上げないとサッカーをやめるくらいの気持ちだった」
-大久保からどんな影響を受けたのか。
「仲間に要求する。『俺に出せ。決めるから俺に出せ』とめっちゃ怒るんですよ。その代わり決めるから仲間は何も言えない。一番結果を残しているから。FWとしてすごいと思ったし、もちろん悔しさもあった。自分もそうならなあかんなって。C大阪に戻って来て、要求して圧倒的な結果を残そうと思った。だから今は『こいつ、めっちゃ怒るやん。何かあったんか』と思われているはず」
-自分にもプレッシャーが掛かる。
「それで点を取れなかったらリスクはあるし、不安もある。でも同時に、嫌われることを怖がらんようにしようと思った。もちろん人間ですし、気を使う性格なので、言い過ぎたかなとか日々思いますが、サッカー人生は短いし、嫌われようがどっちでもいいという気持ちになった」
-思い描くキャリアは。
「W杯や海外に出て活躍したい。欧州チャンピオンズリーグとか出てみたいですね。あれに出られる日本人なんて本当に一握り。目標としてありますけど、まだまだ頑張らなあかんと思います」