「明治安田生命Ｊ１、広島１－０札幌」（２４日、エディオンスタジアム）

　昨季１５位から巻き返し狙う広島が新加入のＦＷティーラシン（タイ）のゴールで１－０で開幕戦を飾った。前半２８分、ＭＦ柏からのクロスに鋭く反応。どんぴしゃのタイミングで頭を合わせてゴールネットを揺らした。

　「公式戦初試合でゴールを決め、チームの勝利に貢献できたことは本当に良かった」。約１万７０００人が詰めかけたスタンドではタイの国旗も振られ、「温かく歓迎してもらい、うれしい」とサポーターに感謝した。

　タイ代表では９１試合で４２得点を挙げ、「タイの英雄」の異名を持つ。この日対戦した札幌のＦＷチャナティップ、神戸ＤＦティーラトンとともに母国ではスーパースターだ。この日は両親と妻子がタイから駆けつけ、タイメディアも来日。母国ではパブリックビューイングで試合が放映された。「タイでは３人の中でだれが一番点を取るかが注目されているんだ。きょう決められてホッとした」。

　それでも満足はしていない。ＦＷ渡と交代する後半３９分まで精力的にピッチを駆け回ったが、「良かったのは点を取ったことだけ。まだ課題は多い。次の試合に向けて一つ一つ修正していきたい」と表情を引き締めた。

　チーム再建を託されている城福新監督は「どうしても勝ち点がほしかった試合。そのミッションをクリアできて良かった」と笑顔を見せた。ティーラシンについては「得点に絡んだだけでなく、カウンターの起点になった場面もあった。初戦にしてはよくやってくれた。彼のポテンシャルを考えれば、やれると思うし、やってもらわないと困る」と期待の大きさを口にした。