ハリルJ大丈夫?攻守に課題噴出 指揮官嘆き「W杯にほど遠い」
「国際親善試合、日本1-1マリ」(23日、リエージュ)
日本は1-1でマリと引き分けた。W杯ロシア大会1次リーグで同組のセネガルを想定したアフリカ勢との一戦。前半終了間際にPKで先制点を与えると、その後は攻撃で思うような形がつくれずに苦戦。後半ロスタイムに途中出場で代表デビュー戦となったFW中島翔哉(23)=ポルティモネンセ=が同点ゴールを奪った。国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで55位の日本に対して67位と下回り、W杯出場を逃した相手にドロー。今後に大きな不安を残す結果となった。
突きつけられた現実は、かくも厳しい。後半ロスタイムに、相手ミスから何とか追いつく青息吐息のドロー。終了の笛がリエージュの冷たい空気に響くと、ハリルホジッチ監督はベンチに座りこんで動けない。「…何を言えるかなという試合。まだまだやるべきことがたくさんある」。会見場で指揮官が声を絞り出した。
ポジティブな要素が少なすぎる、W杯イヤーの初戦だった。立ち上がり、攻撃面でFW宇佐美などフレッシュな選手たちが持ち味を発揮するも、得点にはつながらず。前半34分には、それまで出色のできだったMF大島が右ふくらはぎを負傷し途中交代。攻撃の迫力はトーンダウンした。
さらに守備では課題が噴出。負傷者が相次いだ右サイドバックの位置で代表デビューを果たしたDF宇賀神は、前半19分に不用意なファウルで警告を受けると、同42分にはPKを献上。先制を許すと、前半のみでベンチへと退いた。さらにはDF昌子、GK中村も危なっかしいプレーを連発した。
ハリルホジッチ監督は、今遠征の2連戦をW杯本大会で対戦するセネガルとポーランドに「(タイプ的に)近い相手」と評した。だがMF香川(ドルトムント)、DF吉田(サウサンプトン)など複数の主力が負傷で不参加のため、チームとしての戦術を確認するのではなく、本番と似たタイプの相手に対して戦える選手を見極める、選考の場とした。
だが、指揮官が思い切って起用した選手で存在感を残したのは、同点弾のFW中島を除けば皆無。「私が期待するW杯本大会のチームにはほど遠い」。本大会に向けてやるべきことを問われた指揮官は、ぽつりぽつりと絞り出した。「すべてです。すべてです。すべて、すべて、すべて」。何度も口にした言葉が、厳しい現実を表していた。