神戸イニエスタついにJデビュー!圧巻プレーに本拠地歴代3位2万6146人熱狂

 後半、ピッチに登場した神戸・イニエスタ(右)=撮影・坂部計介 
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 「明治安田生命J1、神戸-湘南」(22日、ノエビアスタジアム神戸)

 J1神戸にスペイン1部バルセロナから完全移籍で加入したMFアンドレス・イニエスタ(34)が湘南戦の後半14分から途中出場し、Jデビューを飾った。来日5日目でコンディションが万全ではない中、鮮やかなスルーパスを何度も通すなど観衆を魅了。試合は0-3で敗れたが、Jリーグ史上最高額となる年俸2500万ユーロ(約32億2000万円)の価値を十二分に示した。

 小さな“魔法使い”が大歓声に迎えられ、神戸のピッチに舞い降りた。2点を追う後半14分、MFイニエスタがFW渡辺との交代でJリーグデビューを果たした。トップ下に入ると注目のファーストプレーは3分後に訪れた。自陣でパスを受け、柔らかなタッチで振り向くと、再び大歓声が湧き起こった。

 無理のない姿勢から正確無比のボールコントロールで鋭いパスを何度も供給した。中でも後半44分に中盤からFWウェリントンに通した中距離のスルーパスは極上の一品だった。直後にはCKを左足ボレーでとらえ、J初シュートも放ったが、惜しくも枠を外した。

 周囲との連係構築には時間が必要だが、今後への期待感を抱かせるには十分過ぎるほど格の違いは際立っていた。「個人としては温かく迎え入れられ、デビューできたことは喜ばしいが、チームとして負けてしまったことは残念。負けるのは好きではないので」。スペイン代表としてW杯を制し、バルセロナで計32冠を獲得した誇りもにじませた。

 世界的大物を一目見ようとノエビアスタジアム神戸の歴代3位、今季最多2万6146人が詰め掛けた。報道陣は海外も含め60社148人が集まり、イニエスタのTシャツはS、M、Lサイズが完売。1日で約1000枚が売れるのは超異例のことだという。

 「自分のトップの状態には到達していない」と話したように、コンディションは万全ではなかった。W杯ロシア大会の決勝トーナメント1回戦で敗退後、わずか2週間というあまりにも短い休暇を終えて18日に来日すると、その足で練習場に出向いた。チームのオフだった19日も汗を流すなど、精力的に調整を重ねてきた。それでも「できるだけ前を見て攻撃を組み立て、縦へのパスを探すよう心掛けた」と振り返ったように、31分間の出場で3・967キロ(90分換算で11・5キロ)の走行距離を計測し、積極的に攻撃に絡んだ。

 次戦となる28日のホーム柏戦も途中出場が濃厚だが「今日よりもいいプレーができる。中盤から攻撃に掛けての要になるプレーをしてチームに貢献したい」と自信を示した。デビュー戦を勝利で飾ることはできなかったが、8月上旬には最愛の家族も来日予定で状態はさらに上向いていく。「これから始まる素晴らしい物語の第一歩だ」。そう語るまなざしは確信に満ちていた。

 ◆アンドレス・イニエスタ(Andres Iniesta)1984年5月11日、スペイン・アルバセテ県フエンテアルビジャ出身。アルバセテの下部組織から12歳でバルセロナの下部組織に移った。2002年にトップチームでデビューして以来バルセロナ一筋。欧州チャンピオンズリーグ4回、リーグ9回、国王杯6回、クラブW杯3回、スペイン・スーパー杯7回、欧州スーパー杯3回の計32冠を獲得した。リーグ戦通算443試合出場(35得点)はクラブ歴代2位。スペイン代表では10年W杯南アフリカ大会優勝。08、12年欧州選手権連覇。スペイン代表通算136試合13得点。171センチ、68キロ。

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