森保新監督「覚悟と感謝で」五輪と兼任も“即決”下のカテゴリーと「融合できる」
日本サッカー協会は26日、日本代表新監督に東京五輪男子代表の森保一監督(49)の就任を発表した。任期は4年。2000年シドニー五輪と02年W杯日韓大会で指揮を執ったフィリップ・トルシエ氏以来となる、五輪代表とA代表の兼任監督が誕生した。この日、都内のホテルで就任会見を開いた新指揮官は「世代交代、年代間の融合を図り、日本サッカー界の発展につなげる。覚悟と感謝で職責を全うしたい」と所信表明を行った。
丁寧に言葉を紡いでいく姿に、人柄が表れていた。会見場に姿を現した森保新監督に向け、無数のフラッシュがたかれると、立ち止まり一礼。確かな足取りで登壇した。
所信表明。自国開催でメダル獲得を目指す東京五輪代表に加え、W杯カタール大会では史上最高の8強以上を目指すA代表。日本サッカー界の未来を担う2つの重責を担う心境を「本当に困難。1人でやるのは不可能」と包み隠さずに吐露する。だがその上で「日本サッカー界を支える皆様の力をお借りできれば、不可能が可能に変わる。2つのチームを同時に見ることが大きな成果になる」と真っすぐ前を見据えて語った。
ドタバタの就任会見だった。20日の技術委員会後に、関塚技術委員長から意思確認はされたが、実際の監督就任のオファーは発表当日の26日。「意思確認後には自分としても考えていたので、田嶋会長から話を頂いた時には即決した」と契約書にサインした。
兼任監督だからこそ可能な、大きな目的を遂行する。W杯ロシア大会後、FW本田、MF長谷部といったベテラン勢が代表引退を宣言。喫緊に迫った世代交代については「言葉ありきではなく、この世界は実力の世界。見せれる選手、走れる選手、実力がある選手が(試合に)出るべき」と基本的な考え方を語りながらも「年代間の融合をはかりながらチームを作っていきたい」。
2つの代表チームを指揮することで「五輪代表からA代表に行く選手もいると、新たに五輪代表に招集する選手も出てくる。するとさらに下の年代から五輪代表に引き上げ、融合する。A代表と東京五輪、その下のカテゴリーと少しずつ融合できていけるのでは」と未来絵図を描く。
ただ、現実的には決して簡単なものではない。8月にはU-21代表で臨むアジア大会に参加するが、同大会の決勝戦は9月1日。A代表の初陣は9月7日のチリ戦(札幌ドーム)で指揮官自身も、打診を受けた際には「体は一つ。(選手の)視察はどうするのかと思った」。それだけに、今後に向けて現在の五輪代表スタッフだけではなく、新たなスタッフ編成を行う予定で「私1人でやるのではなく、協会、日本代表を支える人たちの力を借り、全体で日本代表を見ながら、選手を見極めていく、情報共有をしていければ」。オールジャパンで大きな課題に取り組んでいく。
田嶋会長は、4年後のW杯カタール大会をも見据えてサポートしていくことを明言。だが「安泰だと思ってはいません。1試合ごとに勝負だと思ってやる。覚悟と感謝の2つで職責を全うしていきたい」。森保ジャパンの大いなる挑戦が始まった。