湘南・曺貴裁監督 初優勝で涙を流した理由「何度も折れてたから」
「ルヴァン杯・決勝、湘南1-0横浜M」(27日、埼玉スタジアム)
湘南が神奈川対決を制し、初優勝。ベルマーレ平塚時代の94年天皇杯以来、2つ目の国内ビッグタイトルを手にした。就任7年目の曺貴裁監督(49)は優勝決定の瞬間、芝生の上に突っ伏して号泣した。「優勝しても絶対に泣かないと決めていたんですよ」と明かすが、涙をこらえきらなかった。
「何度も(心が)折れそうになったというか、折れてたから。ポキポキと。折れていたことを思い出して。ギリギリのところでやってきて、選手が報われてよかったなと。チャンピオンチームの一員となって、そういうものに思いをはせてああいうふうになっちゃったというか」と涙の理由を打ち明けた。
追い求めてきた“湘南スタイル”。当初はハイプレスと縦への速い攻撃のみを意味したが、それだけでは勝てなかった。この2年間、ゴール前の守備をテーマに構築し続けた。この日は試合開始早々、アグレッシブな攻撃で何度も好機を作り、前半36分に先制。後半は相手の攻撃を何度もはね返す1点を守り抜く守備を見せた。
「“湘南スタイル”と言われているものは縦に速いだけでなく、最後しっかり体を張って相手のシュートをブロックするところまで総括的なもの、あるいはもっと原則的なものだと思っている」。
攻守に発揮された“湘南スタイル”。この日の優勝には、それが正しかったことを証明する大きな価値がある。
クラブは4月にライザップの連結子会社になった。監督自身、その指導のもと肉体改造に臨む。会見場の席には、大会スポンサーのYBCの菓子が並ぶ。「ライザップさんの指導で糖質制限をしているのでこのお菓子は食べられないんですが、きょうはチップスターのうす塩味とルヴァンのビスケットを少し食べようかなと思います」。結果にコミットしたこの日、久々の糖質も許されていい。