【記者の視点】大迫不在なら布陣&戦術の引き出し模索を
「アジア杯・1次リーグ、日本1-0オマーン」(13日、アブダビ)
2大会ぶり5度目のアジア杯優勝を目指すサッカー日本代表は、1次リーグの第2戦でオマーンと対戦して1-0で勝利。F組の2位以上を確定させ、16強進出が決まった。立ち上がりは決定機を多く作ったものの、得点はMF原口元気(27)=ハノーバー=がPKのみ。決定力不足と同時に、初戦で2得点のFW大迫勇也(28)=ブレーメン=が欠場した影響を感じさせたが、それ以前にクリアすべき課題を浮き彫りにさせた一戦となった。同戦から一夜明けた14日、チームはアブダビ市内で練習。その後、首位通過がかかるウズベキスタン戦(17日)に向けてアルアインに移動した。
◇ ◇
依存度が高まるエース不在の状況を脱却するためには、代役の出現を待っているだけでは解決しない。安定したポストプレーで攻撃の起点となる大迫が最前線に位置取ることは、アジア杯を戦う日本の攻撃でも紛れもない軸。ただ、その一方で“大迫依存”はロシアW杯前から突きつけられている克服すべきテーマの一つでもある。
決勝ゴールを挙げた原口は試合後に「これでは決勝トーナメントは勝てない」と危機感を口にした。オマーン戦で先発した北川、途中出場の武藤はそれぞれの持ち味を見せようとしたが、その特長がチーム全体とかみ合い、効果的に機能していたとは言い難かった。それは、チーム全体が、起用する選手の特長を生かして攻撃の手法を変化させられなかったことに起因しているのではないだろうか。
前半、北川は前線から積極的に相手を追い回して守備の起点となると同時に、トップ下の南野がプレーしやすいスペースを作り出すことにも成功していた。ゴールは生まれずとも決定機は作るなど、効果的な時間帯もあったが徐々にペースダウン。途中出場の武藤は独力での突破を試みるシーンが多かったが、単発の攻撃に終わることが多かった。
森保監督以下、選手たちは「大会を通じて成長したい」と口をそろえる。現体制で初の公式大会は成長のための舞台であると同時に、9月から始まるW杯予選に向けて貴重な準備の場という一面も持つ。アジア杯に臨む3人のFWが持つ特徴は三者三様。選手の組み合わせに応じて、布陣や戦術の“引き出し”を増やすことを模索することも、タイトルと共に追い求めたい。(デイリースポーツ・サッカー日本代表担当・松落大樹)