変幻自在の森保スタイル“自滅”せず成長見せる 28日アジア最強イラン戦

 「アジア杯・準々決勝、日本1-0ベトナム」(24日、ドバイ)

 2大会ぶり5度目の優勝を目指す日本代表は、準々決勝でベトナム戦(24日・ドバイ)に臨み、MF堂安律(20)=フローニンゲン=のPK弾で1-0と勝利した。前戦のサウジアラビア戦(21日・シャルジャ)と同スコアでの勝利ながら、内容は日本がボールを支配する展開に一変。決定力の面などで物足りなさを見せた一方で、ベトナム戦の90分間には日本代表としての確かな成長と、最大2試合を残すアジア杯、そして今後に向けた課題が垣間見えた。4強に進出した日本は、決勝進出をかけて28日にイランと対戦する。

 ベトナム戦の日本代表は、これまでの日本代表とは違った姿を見せていた。国際Aマッチ通算114試合目と文字通り、百戦錬磨のDF長友が振り返る。「自分たちのサッカーができないと崩れてしまう、カウンターやセットプレーから1点取られてしまうのが今までの日本だった。そこは成長を感じます」。

 その言葉通り、敗戦へとつながる要素はピッチ内にいくつも落ちていたように感じる。虎視眈々(たんたん)とカウンターを狙うベトナムを崩しきれず、一度は決まったかに見えた先制点もVARで取り消しとなった。ミスも重なり、ボールを保持して攻め込みながらも相手の“一発”に沈む、何度も演じた自滅に近い負けパターンをなぞるかに見えた。

 ただ、今の代表は“スタイル”に固執しない。とにかくボールを保持して人数と手数をかけて崩すことや、引きこもる相手に愚直に背後を突き続けることもしない。今は海外に挑戦する時代から、海外でプレーし続ける時代となった。年齢や経験、所属先でのスタイルも異なる選手たちにとって、最大の共通項は貫くスタイルではなく、勝利からの逆算。ベトナム戦とは対照的なサウジ戦も踏まえ、MF柴崎は「100%満足の試合はほぼ存在しない中で、内容を求めて負けるのか、結果を求めてサッカーを変えていくのか。僕らは後者を選んでいる部分もある」と語る。

 一方で、苦戦を招いた要因には、試合運びのまずさがある。立ち上がりからミスを連発し、相手に主導権を移譲。試合後の取材エリアでは多くの選手が否定したが、ベトナムを相手にある種の“緩み”があったように映る。長友は、タイトな日程による疲労を原因に「集中して入りたいと思っていても、頭が少しぼやっとしていた」と説明する。だが、立ち上がりに脅威を植え付けて主導権を握ることこそ、世界の強国がペースをコントロールしながら勝ちきる常とう手段。9月から始まるとされるW杯予選に向けても、克服すべき課題ではないか。

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