慶南・邦本 決勝ゴールに感涙「日本の人に自分のプレーを見て欲しいと」

 「アジアCL・1次リーグ、鹿島0-1慶南」(24日、カシマサッカースタジアム)

 1次リーグの第4節が行われ、前回大会覇者の鹿島はホームで慶南(韓国)に敗れた。後半18分、慶南のMF邦本宜裕が右サイドからのクロスを合わせて先制。これが決勝点となった。鹿島は今大会初黒星。

 勝利を告げるホイッスルが敵地のピッチに響くと、殊勲の21歳の目に涙が浮かんだ。今季、クラブ史上初となるACLに挑戦し、4試合目でつかんだ初勝利。邦本は涙の理由について「ここ最近は結果も出てなくて、ACLでも未勝利だった。久しぶりに結果が出たからですかね」と説明した。

 邦本自身にとってもACL初ゴールとなったのは、後半18分。MFジョードンマッチの右クロスに、邦本は逆サイドから走り込んだ。中央でつぶれ役となった味方を越えてきたボールを左膝付近で押し込む形となり「狙い通りかと言えばそうではないかもしれないですけど」と苦笑い混じりで振り返った。

 日本での試合には、特別な思いもあった。「日本の人に自分のプレーを見て欲しいという思いがあった。いつも気持ちを入れてプレーしているんですけど、いつもより気持ちが入っていたと思う」。北九州出身で、2013年に浦和ユースに加入。初年度からトップチームの練習にも参加し、16歳の誕生日を迎えた直後の同年10月の天皇杯3回戦の山形戦で、プロの舞台に立つといきなりゴールを奪って見せた。だが、その後は浦和ユースを離れることになり、15年には当時J2の福岡に加入。16年にはJ1でリーグ20試合に出場したが、翌17年に契約条項違反(クラブの秩序風紀を著しく乱した)として、契約解除。「日本で一度、サッカーをクビになって韓国に渡った。少しでも自分が変わった姿を見せるには、サッカーしか自分の頭にはなかった」。スタジアムには、地元・北九州から友人たちも駆けつけた。「大きな声で応援してもらって、本当にうれしかった」と振り返った。

 この日の鹿島戦は、A代表と五輪代表を兼任する森保監督も視察。指揮官は邦本に関する質問に対して「唯一の得点者でもあるし、試合の中で彼の特長も見せてくれたと思っている」と答えた。若くして将来を嘱望されながらも、一度は“ドロップアウト”した邦本だが、日本代表に対する思いを問われると「夢は東京五輪に出て、その後、A代表に入ること」と小さな声で話した。そして「まずはチームで結果を残すことです。今日は得点が取れましたが、これに満足せずやっていきたい」と前を向いた。

 「少しでも自分が変わった姿を見せる」と語る男の挑戦は、まだまだ道半ばだ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サッカー最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(サッカー)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス