C大阪 アキレス腱断裂に契約満了…引退危機乗り越えた30歳FW鈴木がJ1初ゴール
「明治安田生命J1、C大阪2-1川崎」(1日、ヤンマースタジアム長居)
C大阪は今夏加入したFW鈴木孝司(30)のJ1初ゴールが決勝点となり、今季初の3連勝を飾った。
ストライカーの嗅覚が凝縮されていた。1-1で迎えた後半9分。左内転筋を痛めたFWブルーノ・メンデス(25)に代わったわずか4分後だった。「点を取る確率が高いかな」。鈴木は右からのクロスをニアで待ち受け、力いっぱい頭を振った。乾坤一擲のヘディングがゴールネットを揺らした。今夏、J2琉球から加入した30歳がプロ8年目で待望のJ1初ゴール。「気が付いたら看板を飛び越えていた」と、サポーターの待つゴール裏に駆け出した。
どん底からはい上がった苦労人だ。12年に法大からJ2町田に入団し、JFL、J3、J2を経験した。2度の左アキレス腱断裂もあり、昨季限りで町田を契約満了となった。引退も頭をよぎったが、トライアウトを経て琉球に加入したことが転機となった。負傷が快方に向かったことで「100%サッカーに集中できるようになった」。27試合で15得点を量産し、C大阪からのオファーを勝ち取った。「自分のサッカー人生はスペシャルなことは何もない。地道に腐らずやってきたからこのステージがある」と噛みしめるように振り返った。
鈴木をピッチに送り出したロティーナ監督(62)は「ゴール以外にもクオリティーの高いプレーをしてくれた。彼のプレーに満足している」と高く評価した。「ゴールしないと認められないと思っていた。ようやく仲間入りできたかな。安心したけど、ここから積み重ねていきたい」。喜びに浸ってばかりはいられない。ゴールで人生を切り開いてきた遅咲きのストライカー。視線は既に未来を見つめていた。