川崎、ルヴァン杯初V 死闘120分間PK戦制した
「ルヴァン杯・決勝、札幌3(4PK5)3川崎」(26日、埼玉スタジアム)
共に初優勝を目指す決勝はPK戦の末に川崎が制した。2-2から突入した延長を3-3で終え、PK戦で川崎GK新井章太(30)が2本を止める活躍で決着した。新井はMVPに選出された。川崎にとっては悲願となったカップ戦の初タイトルとなり、優勝賞金1億5000万円を獲得した。
その瞬間、絡みついていた鎖が断ち切れた。120分間の打ち合いを経て突入したPK戦。GK新井は6人目のDF進藤のキックをがっちりとつかむと、歓喜に沸くスタジアムをまるでラグビーのように駆け上がり、ハーフラインを越えたあたりで“トライ”した。
「目立とうかなと思い、ボール持って走っていたらラグビーの感じがして。(W杯の中継を)見過ぎたので。試合前とかも結構見ているので映像が頭に残っていた」。通算5度目の決勝で、ついにタイトル獲得。リーグ制覇とは異なる喜びが、選手とサポーターを包み込んだ。
「もうシルバーコレクターとは言わせないからね」とMF中村は笑う。天皇杯も含め、カップ戦の決勝戦は過去5戦5敗。それだけに、勝者としてスタンドでカップを掲げた時にも「負けた札幌の選手たちが目に入って、ちょっと複雑だった。自分たちもああだったから」と2得点のFW小林。その悔しさが思わずフラッシュバックするほどだった。
リーグは2連覇中。国内屈指の強豪だと誰もが認めるところだが、中村はカップ戦の王者となることで常勝軍団へ変革するきっかけとなることを望む。「川崎は決勝で勝つっていうイメージが出てくれば、この先も変わってくると思うから」。ここから新たな歴史を積み上げていく。